エーザイが米医薬品大手バイオジェンと共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の米国での正式承認の可能性が高まり、業績への期待感も強まっている。米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会が9日、正式承認を勧告したことを受け、12日の東京株式市場ではエーザイの株式に買い注文が殺到。株価は前週末比205円高の1万0795円と、年初来高値を更新した。
 レカネマブは、早期のアルツハイマー型認知症患者を対象にした新薬。脳内に蓄積して病気の原因になるとみられるタンパク質を除去し、症状の進行を抑制する効果が期待されている。臨床試験(治験)では、薬を投与しない患者と比べ、症状の悪化を27%抑制する効果が確認された。
 米国では既に迅速承認され、「レケンビ」の名称で販売を開始。FDAは7月6日までに正式承認の可否を判断する予定だ。承認申請は日本、欧州連合(EU)、中国、カナダ、英国、韓国でも受理されており、日本、EU、中国では2023年度中の承認取得を目指している。
 エーザイは23年度、レカネマブの臨床試験や市場投入に向けた準備で、1100億円の関連投資をバイオジェンと共同で実施。これらの負担で連結純利益は前期比31.4%減の380億円と減益を見込む。しかし、内藤晴夫最高経営責任者は各国での承認を念頭に、「24年度以降は飛躍的成長に向かう。過去と別格の成長を成し遂げる」と自信を見せている。 (C)時事通信社