旧優生保護法(1948~96年)に基づき障害者らが不妊手術を強いられた問題で、衆参両院の調査室などが初めてまとめた報告書が19日、両院議長に提出された。自治体などに残っていた手術記録は6550人分で、最年少は当時9歳の男女2人だった。目的を偽って手術したほか、必要な審査会を開かずに実施を決めるなど被害の実態をあらわにする内容で、全文がインターネット上で公開された。
 細田博之衆院議長は「国会としても対応をできるだけ急ぐ」などと述べた。
 報告書は3編構成で約1400ページ。第1編「旧優生保護法の立法過程」、第2編「優生手術の実施状況等」、第3編「諸外国における優生学・優生運動の歴史と断種等施策」となっている。2019年に成立した救済法は、国が再発防止に向けて旧法に関する調査を行うとし、衆参両院調査室などが資料収集やアンケートを実施した。
 報告書によると、不妊手術のピークは1955年。旧法下では約2万5000人が手術を受けたとされ、うち約75%が女性だった。「本人同意なし」の手術は、全体の約66%を占めた。都道府県別の最多は北海道の3224件で、宮城1744件、大阪1249件と続いた。最少は鳥取63件。
 背景として、経済状況による育児困難、家族の意向や福祉施設の入所条件といった事例が確認された。最年少はいずれも当時9歳だった男女2人で、男児は昭和30年代後半に、女児は同40年代後半に手術を受けた。最年長は57歳の男性だった。 (C)時事通信社