地方制度調査会(首相の諮問機関)の専門小委員会は28日の会合で、感染症のまん延や大規模災害といった非常時の国と地方の関係について議論した。国が的確で迅速な対応をするため、自治体に「必要な指示」ができるかどうかを論点として提示。自治体の自主性や自立性を重視する地方分権と、国家的な危機への対応をどう両立させるのか、さらに検討を重ねる。
 新型コロナウイルスの感染拡大では、国や自治体の役割分担が不明瞭で、入院調整や自宅療養者支援が滞るケースが見られた。小委は、個別の危機管理法制が想定しない場面が生じたためだとして、国民の安全に重大な影響を及ぼす「非平時」に対応した地方制度を用意する必要性を提起した。
 現行の地方自治法では、法令に違反した事務処理をしている自治体に「是正の要求」「是正の指示」を行う仕組みがある。小委は、自治体事務に違反がなくても、国が一定の役割や責任を果たすべき事態では、必要な指示を行うことが考えられると示した。
 指示を受けた自治体は何らかの対応をする義務が生じるため、国が指示できるケースを限定するとの論点も併せて提示。危機的な事態が全国規模である場合などを例示した。 (C)時事通信社