子どもを薬物乱用から守るには=つらさを1人で抱えない教育を
2010~14年ごろに社会問題になった危険ドラッグのまん延。違法薬物と同等の作用がありながら、違法でないことが入手へのハードルを下げ、若年層にも広がったが、現在の子どもの薬物乱用の実態はどうなっているのか。国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)精神保健研究所薬物依存研究部の松本俊彦部長に聞いた。
◇市販薬や大麻へ移行
「危険ドラッグはインターネットでも購入でき、引きこもりや対人恐怖などの問題を抱えている人たちが、苦しさを紛らわすために使用する傾向も見られました」と松本部長。2014年に危険ドラッグの法規制が厳格化されたことで一時期のようなまん延は終息したが、その一方で大麻に移行した人が増加し、検挙者が増えている。
「危険ドラッグは、早い段階で薬物依存の専門外来に相談する人も少なくありませんでした。しかし大麻に移行してしまった人は、違法な薬物であるためか、周囲や病院に助けを求めにくい点が問題です」と、松本部長は話す。
一方、10代の女性では、市販の鎮痛薬や風邪薬の乱用が深刻な問題だ。「微量ですが依存性があり、脳に影響を与える成分が入っています。ストレス性の頭痛を和らげることが目的だったのが、次第に気分が落ち込んだときに服用したり、予防的に飲むようになったりして薬物乱用が始まります」と説明する。
(2017/08/10 13:10)