新型コロナウイルスの感染経路特定や、変異株の発生動向を監視するため、国の交付金で民間検査機関などに「次世代シーケンサー」と呼ばれる全遺伝情報(ゲノム)解析機器を整備した事業で、2020~21年度に18道府県で整備した63台のうち、8道府県の21台がほぼ利用されていなかったことが17日、会計検査院の調査で分かった。検査院は厚生労働省に対し、機器の有効な活用を求めた。
 検査院が18道府県に設置された機器63台の使用状況を調べたところ、8道府県が設置した21台のうち14台が全く使われていなかった。7台は数回の使用実績があったが、本来の目的である道府県からの依頼を受けたものではなかった。
 8道府県は22年度末までに一度もゲノム解析を依頼していなかったという。検査院は、自治体の依頼を受けて検査機関がゲノム解析をするという事業目的について、厚労省の説明や自治体側の理解が不十分だったとして改善を求めた。
 厚労省の担当者は「目的に沿って利用されていなかったことは誠に遺憾。指摘を踏まえ、適切に対応していく」とコメントした。 (C)時事通信社