既存の抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法は、糖尿病黄斑浮腫(DME)に対する有効な治療法ではあるものの、奏効率の改善や注射頻度の低減などを実現するためにさらなる治療選択肢が求められている。米・Cleveland Clinic Martin HospitalsのRishi P. Singh氏らは、DMEに対するブロルシズマブとアフリベルセプトの有効性と安全性を直接比較する二重盲検第Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)を実施。52週間の治療後、視力転帰に関してブロルシズマブはアフリベルセプトに対して非劣性であり、中心窩網膜厚(CST)の減少量が有意に大きかったことをJAMA Ophthalmol2023年11月16日オンライン版)に報告した。

517例を2群に割り付け52週間治療

 2019年9月~20年3月にハンガリー、イスラエル、スロバキア、米国の115施設にて、DMEによる視力障害を有する成人患者517例(平均年齢60.7±10.2歳、男性57.8%、65歳未満62.5%)を登録。ブロルシズマブ(6mg)またはアフリベルセプト(2mg)を4週に1回硝子体内注射する群に2:1でランダムに割り付け、52週間治療した。DME未治療患者と抗VEGF療法歴のある患者をともに組み入れたが、登録前3カ月間に抗VEGF療法歴のある患者は除外した。

 主要評価項目は、52週時点におけるEarly Treatment Diabetic Retinopathy Study(ETDRS)視力検査表での最高矯正視力のベースラインからの変化量。副次評価項目は、52週時点における糖尿病網膜症重症度スケールのスコアがベースラインから2段階以上改善した患者の割合、網膜下液(SRF)および網膜内液(IRF)の消失を認めた眼の割合、CSTのベースラインからの変化量、安全性とした。

視力改善においてブロルシズマブは非劣性

 ブロルシズマブ群は346例、アフリベルセプト群は171例だった。

 52週時点における最高矯正視力のベースラインからの変化量は、ブロルシズマブ群12.2文字、アフリベルセプト群11.0文字と、非劣性マージンの4文字を満たし、ブロルシズマブのアフリベルセプトに対する非劣性が示された(群間差1.1文字、95%CI −0.6~2.9文字、非劣性マージン4文字、P<0.001)。

 SRFおよびIRFの両方が消失した眼の割合は、アフリベルセプト群の22.2%に対しブロルシズマブ群では41.6%と有意に多かった(群間差20.0%、95%CI 12.5~28.6%、P<0.001)

解剖学的改善率はブロルシズマブで高い

 52週時点でのCSTのベースラインからの変化量は、アフリベルセプト群の−196.5μmに対しブロルシズマブ群では−237.8μmと有意に優れていた(群間差−41.4μm、95%CI −58.9~−23.8μm、P<0.001)

 全体的な有害事象の発生率は両群で同等だった。眼内炎はブロルシズマブ群の4.0%、アフリベルセプト群の2.9%に見られ、網膜血管炎はそれぞれ0.9%と0.6%、網膜血管閉塞症はそれぞれ0.3%と0.6%だった。

 これらの結果から、Singh氏らは「視力転帰に関してブロルシズマブ群とアフリベルセプト群で有意差は認められず、解剖学的な改善においてはブロルシズマブ群で良好な結果が得られた。また、ブロルシズマブにおける新たな安全上の懸念は見られなかった」と結論づけている。

(小路浩史)