高齢化が加速する中国で対策を研究する専門家らが、「高齢化先進国」の日本と協力し、知見を得ることに意欲的な姿勢を示している。中国は65歳以上の人口が2億人を超えており、対策が急務。高齢者の社会参画や医療と介護の連携といった分野への関心が高く、日本の事例を参考にしたいようだ。
 「中国では2050年に65歳以上の高齢者は全人口の29%を占めると予測されている。日本は現在、既にこのような割合と聞いており、日本から多くの高齢化対策を学んでいる」。中国人民大学老年学研究所(北京市)の杜鵬所長はこう強調し、日本の取り組みとして特に注目しているのが「高齢者の社会参画だ」と述べた。
 中国国家統計局によると、22年末の中国の総人口は前年末比85万人減の14億1175万人で、61年ぶりに減少。65歳以上は2億978万人で、人口全体の14.9%となった。中国では21年に65歳以上の人口が2億人を超えている。
 中国は1979年に導入した人口抑制策「一人っ子政策」を2016年に廃止したが、少子高齢化に歯止めがかかっていない。経済活動を支える15~64歳の人口は、22年に約9億6000万人と10年前から4400万人以上減少した。少子高齢化にうまく対応しなければ、社会の安定や経済成長に影を落とすため、習近平政権は対策に本腰を入れている。
 こうした中、1994年に設立され、30年近くにわたって研究をリードしてきた老年学研究所への期待も高まっている。杜氏は日本で開かれる高齢化対策の学術会議にもたびたび出席。日本の専門家も中国人民大学を訪れ、交流が進んでいるという。
 杜氏は医療と介護の連携にも関心を寄せており、「20年前に日本を訪れた時に養老施設の隣に医療施設があるのを見た。医療施設は近隣住民も利用していて非常にいいシステムだと思った」と語る。同じく高齢化が進む韓国を交えた日中韓の交流にも前向きで、24年に3カ国の専門家による会議が計画されていると明かした。 (C)時事通信社