能登半島地震は発生から1週間たったが、現地調査した災害関連学会の看護師は、避難所の物資不足は依然深刻だと指摘。「要介護の高齢者など自宅で過ごすしかない被災者もいる。そうした『声を上げられない人』の支援も急務だ」と訴える。
 現地入りしたのは日本災害看護学会(東京都豊島区)。1995年の阪神大震災などを機に設立され、災害時には求められる看護活動の情報を現地で収集し、必要な支援策を公表している。
 石川県珠洲市などで調査した副理事長の看護師酒井明子さん(66)は、市内約60の避難所について「水や介護用おむつなどが足りない。仮に物資が珠洲市内に届いても、各避難所に配る人手が圧倒的に不足している」と窮状を明かす。
 珠洲市では、1避難所当たり200~800人ほどが身を寄せるが、避難者の約半数が65歳以上の高齢者で、「トイレ介助などが追い付かない」状況だ。避難所の収容も限界で、酒井さんは「宿泊環境がもともと整っているホテルや旅館をさらに開放し、行政が活用してほしい」と呼び掛ける。
 在宅被災者の環境はさらに深刻だ。酒井さんによると、被災者の中には介護が必要な人や闘病中の家族がいて避難所に行けない人も多い。水や食料が避難所に届くことはあっても、各地域に点在する住宅には配られていないという。
 酒井さんは「支援の手が在宅被災者まで回っていない。支援を急がないと、さらに多くの人が亡くなる恐れがある」と強調した。 (C)時事通信社