政府は16日、少子化対策の関連法改正案を閣議決定した。財源の一つとして、公的医療保険を通じて徴収する支援金制度の創設を明記。ただ、「実質的な追加負担は生じない」との主張に対し、与野党から説明不足を指摘する声が出ており、政府は今後、詳細な試算額を公表する考えだ。
 支援金は2026年度から徴収を始め、28年度に1兆円を集める。28年度時点で1人当たりの負担は月平均500円弱を見込むが、加入している医療保険や所得によって異なる。
 日本総合研究所の西沢和彦理事の試算によると、医療保険別では、自営業者らの国民健康保険は746円、75歳以上の後期高齢者医療制度は253円。企業負担分を含め、大企業の健康保険組合が851円、中小企業の協会けんぽが638円だった。
 政府は少子化対策に投じる年3.6兆円を、支援金のほかに、社会保障の歳出改革(1.1兆円)と既定予算の活用(1.5兆円)で賄うことにしている。社会保障改革による医療や介護の負担軽減と、賃上げで実質的な追加負担は生じないと説明しているが、高齢化で社会保障費が膨らむ中、計画通りに進むかは不透明だ。
 野党は支援金について「事実上の増税だ。負担ゼロと言うから分かりにくい」と批判。自民党内でも「負担が生じない仕組みをしっかり説明してほしい」との意見が相次いでいる。公明党の高木陽介政調会長は「政府の説明は尽くされていない。国民の理解を得る努力を続けるべきだ」と指摘。個人負担のモデルケースを示すことなどを求めた。 (C)時事通信社