厚生労働省の有識者検討会は、介護福祉士の国家試験見直しに向けた提言をまとめた。不合格だった人を対象に、基準点以上だった分野は再受験の際に免除する「一部合格」の制度導入を明記。介護人材の不足が深刻化する中、働きながら資格取得を目指す人の受験機会の拡大につなげる。厚労省は早ければ2025年度の試験から適用する方針だ。
 介護福祉士は介護現場で中心的な役割を担うため、高齢化でニーズが高まっている。ただ、年に1度の国家試験の受験者は現場で働く人が8割以上を占めるほか、特定技能などの外国人材は在留期間が決まっており、受験機会が限られるという。
 提言によると、「介護の基本」や「医療的ケア」など筆記試験の全13科目を2~3の分野に分けて、それぞれ合否を判定する仕組みを導入。合格した分野は再受験時に免除する。全科目の総得点で合否を出す方法も続け、一部免除を利用するか受験者が選べるようにする。
 厚労省は提言を受け、24年度に新たな検討会を設置し、試験科目の分類の仕方や合格点の基準などを議論し、具体的な制度設計を進める。
 介護福祉士は介護分野で唯一の国家資格。高齢者や障害者ら日常生活を送るのが困難な人に対し、入浴や食事、排せつなどの介護を行う。大学、短大、専門学校などの養成施設卒業後か、3年以上実務を経験した後に国家試験に合格すれば資格を取得できる。 (C)時事通信社