新米医師こーたの駆け出しクリニック

日本人の8人に1人は慢性腎臓病
~透析に至らずとも弊害さまざま~ 専攻医・渡邉 昂汰

 みなさんは、腎臓について、どのくらい知っていますか。

 「腎臓が悪くなると、透析になる!」というイメージをお持ちの人も、いるかもしれません。

 「透析」と聞くと、ごく一部の人の特別な病気のようですが、実は日本人の8人に1人が慢性腎臓病、つまり慢性的に腎機能が低下した状態です。

腎臓は大切な機能を持つ臓器。定期健診などで腎機能や尿の検査数値に異常が見つかったら、必ず腎臓内科を受診しましょう【時事通信社】

 透析までには至らない腎機能の低下でも、さまざまな弊害が出てきます。

 ◇使える薬が限られる

 腎臓は、多くの薬の排せつに関わります。腎機能が低下していると、薬物の排せつが滞って、血中濃度が上昇し、体に害を及ぼすことがあります。

 用量を調整すれば使える薬もありますが、腎機能が悪い人には、一切使えない薬もあります。

 例えば、糖尿病薬の一つであるメトホルミンです。とても良い薬ですが、血中濃度が高くなると、乳酸アシドーシスという、命に関わる疾患になる可能性があり、腎機能の程度にもよりますが、慎重投与、もしくは禁忌薬となっています。

 腎臓が悪いと、他の病気の治療の選択肢が限られてしまうのです。

 ◇造影剤を使いにくい

 造影剤にも注意が必要です。造影剤とは、コンピューター断層撮影(CT)などの画像検査で画像にコントラストをつけて、特定の臓器や血管を見るための薬剤です。

 この検査をしないと分からない病気はたくさんあり、心筋梗塞やがんの診断にも使われます。とても有用な検査ですが、造影剤投与後に腎機能が低下する造影剤腎症を起こすことがあります。

 そして、腎機能がもともと低い人は造影剤腎症を発症するリスクが高いため、造影検査には慎重にならざるを得ません。

 もちろん、検査や治療のメリットが、デメリットを上回る場合には、造影剤を使用した検査・治療を行いますが、腎機能がさらに低下するリスクが常に付きまといます。

 ◇異常あれば必ず腎臓内科へ

 慢性腎臓病の原因は、いろいろありますが、高血圧や糖尿病などの生活習慣関連疾患、そして腎臓自体の病気が代表的です。

 前者は食事運動管理、自宅での定期的な血圧測定、体重管理を心掛けることで予防できます。

 そして、適切な治療を早く受けるために、定期健診などで腎機能や尿の検査数値に異常が見つかった際には、必ず腎臓内科を受診していただければと思います。

(了)


 渡邉 昂汰(わたなべ・こーた) 内科専攻医および名古屋市立大学公衆衛生教室研究員。「健康な人がより健康に」をモットーにさまざまな活動をしているが、当の本人は雨の日の頭痛に悩まされている。



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