環境省は29日、発がん性などの健康被害が疑われる有機フッ素化合物「PFAS」について、河川や地下水への含有量に関する調査結果を発表した。2022年度は東京、神奈川、大阪、兵庫、沖縄など16都府県の111地点で国の暫定目標値を超えていた。その多くは飲用ではなかったものの、同省は自治体や井戸の所有者に注意を呼び掛けている。
 PFASは泡消火剤など幅広い生活分野で使われてきたが、PFASの代表物資「PFOS」と「PFOA」に発がん性を疑う研究結果が示され、国は21年までに2物質の製造などを禁止。2物質合計で1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)を暫定目標値とした。
 22年度に38都道府県が1258地点で実施した調査結果を同省がまとめたところ、含有量が最も多かったのは大阪府摂津市の地下水で、同2万1000ナノグラム。府は「汚染源の可能性がある事業者と浄化対策について協議している」と話す。
 訓練で泡消火剤を用いる米軍基地が集中する沖縄県内では、宜野湾市と嘉手納町の地下水で同1000ナノグラムを超えるなど、多くの地点で暫定目標値を超えていた。 (C)時事通信社