医療・医薬・福祉

CO2低濃度化技術と紫外線殺菌技術を融合した空気浄化装置を開発

岩崎電気株式会社
CO2分離回収技術の進化でカーボンニュートラル実現を目指す


新開発の空気浄化装置

岩崎電気株式会社は室内空気質(IAQ ※1)の向上に着目し、空気循環式紫外線清浄機「エアーリア(AIRLIA)」(※2)の紫外線殺菌技術に、新開発した「CO2低濃度化技術」を融合させた新しい空気浄化装置を開発しました。

岩崎電気株式会社では、カーボンニュートラル実現に向けて、二酸化炭素(CO2)やメタン(CH₄)、一酸化二窒素(亜酸化窒素N2O)をはじめとする温室効果ガスの低減と抑制、分離回収や資源転換など、脱炭素社会の実現に貢献できる技術開発において、当社が保有する光技術に新しい技術を融合させた技術開発に取り組んでおります。

この度開発した装置(図1 装置外観及び仕様)は、室内空気質(IAQ)の向上を目的とした装置で、CO2を効果的に吸着及び除去する吸着剤ゼオライトを利用した、PSA(VSA)(※3)方式によるCO2低濃度化システムと紫外線による空気除菌システム(図2 システム構成概略図)を搭載しています。

装置内に取り込んだ周辺空気(大気)を紫外線照射により菌やウイルスを不活化し、空気に含まれるCO2濃度を50ppm以下まで低減でき、「安全で安心なCO2濃度を低減したきれいな空気」を提供することができます。 この装置は感染症対策での室内空気浄化だけでなく、屋内CO2濃度(※4)を低濃度化できる機能を持つことで、眠気防止などの作業性向上への利用、そして換気の悪い密閉空間や個室空間での利用、施設の換気代替技術への応用による換気回数低減によるCO2削減効果も見込めます。

本技術は、東京大学大学院工学系研究科 脇原徹教授の技術アドバイスに基づき開発しました。

岩崎電気では、これまでの室内空気質の向上と、次なるパンデミックに備えた感染症対策技術開発である、空気循環式紫外線清浄機の設置場所提案(※5)や気流の可視化システム(※6)などと合わせ、更なる安全・安心な環境浄化への技術開発を推進してまいります。

なお本開発品は2024年7月21日~25日に開催される、ゼオライト及び多孔質結晶体に関する国際会議「ZMPC2024」(※7)にて技術展示いたします。

空気浄化装置開発ポイント
- 岩崎電気の保有する「紫外線殺菌技術」と新しく開発した「CO2低濃度化技術」を融合させたコンセプト提案
- 利用者へスポット的に清浄な空気を提供することで眠気防止や感染症対策に期待
- 将来のDAC技術への応用、CO2分離回収や資源転換などへ技術展開


図1 装置外観及び仕様
【装置仕様】
CO2濃度:< 50ppm
流量:10L/min
消費電力:200W
外形寸法(幅×奥行×高さ):650×450×720mm




図2 システム構成概略図


注釈
※1 IAQ(Indoor Air Quality):室内空気質
人を取り巻く空気の質を快適さなどの点から評価する指標であり、その項目の1つにCO2濃度が含まれる。
※2 エアーリア(AIRLIA):空気循環式紫外線清浄機
※3 PSA(VSA)方式
PSA:圧力変動吸着法(Pressure Swing Adsorption)、VSA:真空変動吸着法(Vacuum Swing Adsorption)
PSAとは、ゼオライトや活性炭などの吸着剤を充填した吸着塔内へコンプレッサーやブロアなどで原料ガスを供給し、加圧(吸着工程)及び減圧(脱着工程)を繰り返すことで各成分の吸着容量差を利用し目的の成分を分離する手法。
※4 室内CO2濃度
室内CO2濃度が1000ppm以上を示すと人体への健康影響や労働生産性への影響が示唆されている。
厚生労働省:建築物環境衛生管理基準の検討について(PDF:1.97MB)
※5 高効率の空間浄化を実現する空気循環式紫外線清浄機の設置方法に関する研究を開始
※6 LiDAR 3Dスキャナ×流体シミュレーションを用いた「気流可視化システム」を開発。サービス提供に向けた検証開始
※7 ZMPC2024:International Symposium on Zeolites and Micro Porous Crystals 2024
2024年7月21日~25日まで、「ナレッジキャピタル コングレコンベンションセンター」(JR大阪駅北口直結、グランフロント大阪)にて開催されるゼオライト及び多孔質結晶体に関する国際会議
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