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子どもの便秘は要注意
口臭やおねしょも兆候

 便塞栓を疑う症状としては、(1)肛門周囲や下着に漏れ出た小さな便が付着している(2)いくら力んでも排便ができない(3)下腹部を触ると硬く感じることがある―など。実際に便塞栓がある子どもの腹部を超音波エコーやX線画像装置で検査をすると、下腹部に大きな便の塊が見つかるという。十河医師は「大人でも一度の排便量は多くて200グラム程度なのに、中には栓をしていた便を除くと、一度に2キロもの排便をした子どもがいた」と話す。

済生会横浜東部病院の十河剛・小児肝臓消化器科副部長

済生会横浜東部病院の十河剛・小児肝臓消化器科副部長

 ◇除去後、治療に進む

 慢性便秘の治療で十河医師が強調するのは、この便塞栓の除去。便塞栓を除去してからでないと、便秘の治療ができないからだ。その上で「維持療法」として規則正しい生活習慣とバランスの良い食習慣で体のリズムを整え、下剤なども併用しながら直腸に便が来たら排便するという正常な排便習慣を身に付けさせていく。

 十河医師は「維持療法は、重症な患者では年単位の維持療法が必要になる」と言う。治療に使われるかん腸や内服薬の依存性を危惧する保護者もいるが、同医師は「そんな心配を肯定する研究結果はない。便秘を繰り返すことの方が心配だ」と力説する。

 ◇少ない薬剤が悩み

 ただ、専門医師も悩みを抱えている。治療の大前提になる便塞栓を除去する際に使える薬剤が少ないことだ。「海外では有効な飲み薬が認められているが、日本ではまだ承認されていない。現状で使える薬は効果が弱く、子どもにとって大きな負担となるかん腸を何度も繰り返すなど、限られた方法しか取れない。治療の第1段階である便塞栓除去については、さらに進歩が必要だ」と指摘した。(喜多壮太郎・鈴木豊)

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