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常染色体優性多発性嚢胞腎に関する包括連携協定
日本腎臓病協会と大塚製薬が締結


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包括的腎臓病対策に取り組む日本腎臓病協会が掲げている事業の一つ「腎臓病対策の普及啓発・診療体制の整備」に基づき、指定難病である常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の疾患啓発活動に関する連携協定を大塚製薬株式会社と2019年5月22日に締結しました

柏原直樹・日本腎臓病協会(前列右)、芹生卓・大塚製薬株式会社取締役(前列左)ら

柏原直樹・日本腎臓病協会(前列右)、芹生卓・大塚製薬株式会社取締役(前列左)ら


 嚢胞腎疾患の一つである常染色体優性多発性嚢胞腎(Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease : ADPKD以下「ADPKD」)は遺伝性腎疾患の中で、最も頻度が高く、その半数が60歳までに末期腎不全至り人工透析(血液透析、腹膜透析)、腎移植が必要になることが知られています。また、ADPKDは、脳動脈瘤の合併率も高いことから早期に診断することが極めて重要な疾患です。一方、2015年1月からは、ADPKDは、指定難病として国の難病医療費助成制度の対象となったことで治療等にかかる医療費の補助が受けられる仕組みも導入されています。

 日本腎臓学会では、今後10年間の日本の腎疾患対策の方針のもととなる、厚生労働省健康局がん・疾病対策課から2018年7月に発出された「腎疾患対策検討会報告書~腎疾患対策の更なる推進を目指して~」に合わせて、NPO法人 日本腎臓病協会(Japan Kidney Association)を設立しました(東京都文京区、理事長:柏原直樹、以下「日本腎臓病協会」);Web: https://j-ka.or.jp)。今後は、日本腎臓学会・日本腎臓病協会が、関連の省庁、自治体、学会、さらには企業など諸組織と密接に連携して長期的な包括的腎臓病対策に取り組む方針です。

 このような活動の一環として、今回、日本腎臓病協会と大塚製薬株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:樋口達夫、以下「大塚製薬」);Web: https://www.otsuka.co.jp)は、腎臓の難病・希少疾病であるADPKDの疾患啓発および診療水準のさらなる向上を図るため、包括連携協定を5月22日に締結しました。

 締結調印式には、日本腎臓学会/日本腎臓病協会側からは、日本腎臓学会/日本腎臓病協会 理事長 柏原直樹 教授(川崎医科大学 腎臓・高血圧内科学)、日本腎臓学会 副理事長/日本腎臓病協会 理事 南学正臣 教授(東京大学 腎臓内科学/内分泌病態学分野)、日本腎臓学会 幹事 西山 成 教授(香川大学 薬理学)、日本腎臓学会 幹事 田村功一 教授(横浜市立大学 循環器・腎臓・高血圧内科学)、日本腎臓学会/日本腎臓病協会 中川利文 事務局長が出席しました。

 日本腎臓病協会では、今後も日本腎臓学会とも密接に連携し、種々の腎臓病対策の立案、研究、医薬品・医療機器・診断薬開発、政策立案の関係者が一同に会するプラットフォームであるKidney Research Initiative-Japan(KRI-J)を組織・強化し、All Japan体制を構築して腎臓病克服をめざす活動を今後さらに精力的に推進していく方針です。(文責:田村功一)

                       〔企画制作・時事通信社総合メディア局〕

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