企画特集

「運動+音楽」で認知症を予防
三重の御浜、紀宝両町で定着

「メモなしで買い物」と喜びの声
椅子に座るクラスを創設

 三重県の御浜、紀宝両町は気候が温暖。御浜町は「年中みかんがとれるまち」がキャッチフレーズでかんきつ類の栽培が盛んだ。しかし、高齢化の進行と人口の減少は免れない。人口は8588人で65歳以上が3308人(高齢化率38.5%)を占めている。昨年4月時点で478人が何らかの認知症状を発症しており、予防策は町にとって重要課題。その中核を担っているのが「まちかどエクササイズ」だ。

 ◇詩吟で息が続く

 6月半ば、御浜町の健康福祉センターにお年寄り18人がカラフルなユニホームを着て集合した。軽快な音楽が流されるとインストラクターの動きに合わせて、まずは3分間のウオームアップ。続いてリズムウオークや軽い筋力トレーニング、リズムステップなどが流れるように進んでいく。クールダウンの前に行うのが、体を動かしながらの歌唱。脳への刺激効果が高く、認知機能の向上が最も期待できる総合トレーニングという。

 この日のクラスに参加した平見としゑさん(71)は「最近、詩吟を始めたが、息がよく続く。エクササイズのおかげだと感じています」と楽しげに話す。

 ◇予防への高い関心

 「まちかどエクササイズ」は、1回60分のプログラムを週一回行う。実証実験が行われた直後、御浜町は3クラス(各クラス約20人)で始めたが、希望者の増加に対応して4クラスに拡大。それでも、クラスに空きができるのを待っている住民がいるほどだ。立ったままでの運動に不安があるお年寄りのために、椅子に座って同じプログラムを行うコースも5クラス(同10人)も設けた。

 御浜町の大畑覚町長は「住民の認知症予防への関心は高い。『まちかどエクササイズ』は医学面からも有効性が認められており、大きな期待をしている。参加者からも『体が軽くなった』『以前より足が上がるようになった』『みんなと一緒にできることが楽しい』などの声が寄せられている。引き続き支援していきたい」と話している。

 ◇高い参加率と継続率

 隣町の紀宝町は人口1万925人で高齢化率は35.7%。御浜町と同様に高く、認知症を患っている住民は517人に上っている。御浜町と同じく予防事業の柱は「まちかどエクササイズ」。3クラス約60人が参加しており、「参加者の出席率、継続率とも他の高齢者事業と比べて高い」(みらい健康課)。椅子に座って行うクラスも新たに始めた。

 紀宝町の西田健町長は「町民が楽しみながら音楽体操に取り組んでいただけるよう、普及啓発に努めてきた。参加者からは『いろいろな要素が組み合わさった運動のため、楽しく続けられる』『参加者同士顔を合わせて話すことが楽しみ』との声が聞かれ、地域のネットワーク作りにも役立っている。今後も町民が認知症予防への関心を高め、楽しく取り組んでいただけるよう、継続した取り組みを行っていきたい」としている。

 ◇さらにクラスを増やしたい

 「『買い物にメモを持たずに行けるようになった』という声も参加者から聞かれる。さらにクラスを増やしたい」-。まちかどエクササイズは、ヤマハが研修した音楽教室の講師がインストラクターを務め、参加者の様子を確かめながらプログラムを進めている。御浜町、紀宝町とも事業拡大に向けて、インストラクターの追加派遣を要請。ヤマハは全国に1万人の音楽教室講師を擁しており、御浜・紀宝地域の事業拡大にむけて、新年度に入って新たにインストラクターを養成した。

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