血圧の目標値、より厳しく
新ガイドラインをどう読むか
日本高血圧学会が先ごろ発表した「高血圧値治療ガイドライン2019」が話題になっている。病気として治療を始める目安である高血圧症=用語説明参照=の診断基準を変更しない一方、健康な状態を意味する「正常血圧」と「高血圧症」の間に「高値血圧」「正常高値血圧」の概念を導入する。「高値血圧」などに多くの人が該当すると予想されるだけに、どのように対応すればよいのだろうか。
高血圧の分類
同ガイドラインでは、高血圧症の診断基準は医療機関における測定値で最高140mmHg・最低90mmHg(140・90)で維持した。これまで正常高血圧としてきた「130・80以上140・90未満」を高値血圧とし、正常血圧を「120・80未満」としている。血圧を下げる降圧薬の投与は「140・90」からだが、運動療法や食事による摂取塩分量の削減、ダイエットなどによる生活習慣の改善は「130・80」から取り組み始めるという、「2段階方式」とも呼べる基準になっている。
自治医科大学の苅尾七臣(かりお・かずおみ)教授(循環器内科)は「米国では、『最大血圧120』を目指した臨床試験で、『140』を目指したグループに比べて優秀な成績を上げたことから、一気に『130・80』を目指す動きが出てきた」と、背景を説明する。
自治医科大学の苅尾七臣教授
◇「最高130・最低80以上」で生活改善
ただし、この低くなった数値を超えたらすぐに薬物治療を始めるとなると、高血圧症の患者が急増することが予想される。しかも「140・90」でも、治療により目標までの降圧を達成できた患者の比率は高くない。現状で治療目標を引き下げても実効性に問題がある、との指摘もある。
苅尾教授は「事実上高血圧状態で生活改善が必要なのが、『130・80以上』だ。その中でも特に問題があり、薬を使ってでも血圧を早急に下げなければいけないのが『140・90以上』のグループと考えてもらえばよい」と話す。
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(2019/07/18 06:00)