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潰瘍性大腸炎、患者22万人以上
治療で健康人と同じ状態に
~安倍首相辞任の要因~ 鳥居内科クリニック院長 鳥居明医師

 ◇「キードラッグ」

 こうした治療で症状が改善されない場合には、臓器移植時の拒絶反応を制御するための免疫調節薬や、過剰に反応した白血球の一種が生み出した炎症を悪化させる物質の働きを弱める抗体製剤が使われ、効果を上げている。

 「これらの薬は関節リウマチの治療にも使われて大きな効果を上げており、IBD治療を大きく変えた『キードラッグ』と言える」と鳥居医師。ただ、点滴や皮下注射での投与となり、免疫の低下などの副作用もある。使用には消化器内科の専門医による診察が欠かせない。

 ◇血球成分除去療法

 もう一つ近年普及したのが過剰に活動している白血球を血液中から除去する「血球成分除去療法」で、現在「白血球除去療法(LCAP)」と「単球・顆粒(かりゅう)球除去療法(GMA)」の二つの方式がある。基本的には人工透析と同じ仕組みだが、時間は短く、増悪期に週1回のペースで数回実施する。薬物治療に比べて副作用のリスクが小さい点が評価されている。

鳥居明院長

 ◇継続的治療が中心に

 治療法の改善に加えて、治療目標の変化も大きい。これまでは血便や下痢など症状が出ている間だけ治療し、症状が消えた段階で治療を止めていた。しかし、腸内での炎症が慢性化し、放置してしまうと増悪の危険や大腸がん発症の可能性が高まることが分かった。そこで症状が消えても「5ーASA」剤などの服用を続け、年1回の大腸内視鏡検査で大腸内部の様子を確認する、継続的治療が中心になったという。

 鳥居医師は「これが寛解維持に至る患者を大きく増やした」とした上で、「完治は難しくても、定期的な治療で寛解状態を維持できれば、社会生活上の問題はかなりクリアできる。『難病』と過度に恐れずに治療と継続的に検査を受けてほしい」と呼び掛けている。(喜多壮太郎)

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