足の悩み、一挙解決
自分で選ぶ、巻き爪の治療(足のクリニック表参道 山口健一医師) 【PART2】第4回
◇原因を解消しなければ再発は必至
矯正して爪が平たんになっても、また再発したらどうしよう、と不安になる人も多いでしょう。巻き爪は原因を取り除かない限り、ワイヤを外せば基本的には元に戻っていきます。
なぜ爪が巻いてくるのか。第3回で解説した通り、地面からの圧力が足の指に対してまっすぐにかかっていないことが原因です。扁平(へんぺい)足、外反母趾(ぼし)、強剛母趾などの足のトラブルがあるために、親指で地面をしっかり踏めていなかったり、傾いた状態で床に着いたり、ということが続けば、再び爪は巻いていってしまうのです。
原因を放置したままでは、せっかく矯正して平たんになっても、ワイヤを外せば元に戻るのは時間の問題です。たった3カ月で元に戻る人もいれば、半年、1年半かけてゆっくり戻る人もいます。
ネイル・エイドの装着することで、巻き爪(左)を矯正できる(足のクリニック表参道提供)
◇巻き爪セルフ矯正も選択肢のひとつ
矯正と再発と繰り返していては時間も費用もかかるため、市販の矯正器具を使用することも選択肢のひとつです。最近では大学病院に勤務している足の専門医が、巻き爪で困っている方々のために研究・開発をした「ネイル・エイド(一般医療機器 クラスⅠ)」という製品がありますので、症状が軽度、もしくは再発予防などであれば試してみるのもいいでしょう。
ネット通販での購入が可能で、何回でも繰り返し使うことができます。
◇再発予防かファッション性か
爪が巻いてしまう原因の多くは「爪」ではないため、再発させないためには靴の見直しやインソールの活用が有効です。そのうえで親指に負担のかからない正しい歩き方を身につけるべく、必要な筋力や各関節の柔軟性を維持していくことが、目指すべき根治までの道のりと考えるべきでしょう。
ファッション性の高い靴は諦めなければならないのか?というと、決してそうではありません。でもそのためには、自分の中で最も足に負担のかからない基本的な状態とはどういうものかを理解し実践したうえで、ファッションを楽しむのがよいでしょう。ただし、もし爪や足が痛くなってしまった場合は、インソール、靴、歩き方、ストレッチ、筋力、全てが整った負担のかからない状態に戻してあげてください。
足への環境をどれだけ改善しても、爪が痛くなったり膿んだりしてしまう場合は外科的治療に切り替えることも考えたほうがよいかもしれません。
そこで、次回は巻き爪、陥入爪の手術についてお伝えします。(了)
山口健一医師
山口 健一(やまぐち けんいち)
2002年 東京医科大学卒業
2009年 たちばな台クリニック形成外科
2013年 足のクリニック
2016年 爪と皮膚の診療所、形成外科・皮膚科開院。
日本形成外科学会認定形成外科専門医、日本皮膚科学会会員、フスウントシュー・マスターフスフレガー、ドイツ式巻き爪ワイヤVHO認定医、ペディグラス認定足爪補正士、オーソペディック・シューマスター。
(文・構成 ジャーナリスト・中山あゆみ)
全国から患者が殺到するクリニック
「足のクリニック表参道」院長。2004年埼玉医科大学医学部卒業。同大学病院形成外科で外来医長、フットケアの担当医として勤務。13年東京・表参道に日本では数少ない足専門クリニックを開業。専門医、専門メディカルスタッフによるチームで、足の総合的な治療とケアを行う。
日本下肢救済・足病学会評議員。著書に「元気足の作り方 ― 美と健康のためのセルフケア」(NHK出版)、「外反母趾もラクになる!『足アーチ』のつくり方」(セブン&アイ出版)など。
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(2020/11/11 06:00)
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