インタビュー

肝がんの集学的治療
岡本、小池両医師に聞く(上)

 ◇進む肝がん治療

 ―手術方法について教えてほしい。
 岡本 肝臓がんの手術はかつて、すべてが開腹手術だったが、退院まで2~4週間程度かかった。しかし腹腔(ふくくう)鏡を使い腫瘍を取る方法が確立した。おなかを開けないので大きい腫瘍の場合はできないが、この方法だと退院まで術後5~8日ぐらいで済む。おなかの中を二酸化炭素で膨らませるため、内圧がかかるので肝臓は出血しない。拡大鏡を使用し細かい血管がいっぱい見えてやりやすく、腫瘍の離断には適している。

 腹腔鏡手術でも各病院でさまざまな設備を活用している。この病院では手術前のCT画像を特殊処理し、手術中の実物の肝臓に重ね合わせた画像(重畳表示)が手術室のスクリーンに映る装置がある。高次元医療画像研究所という大学の付属研究所が病院の敷地内にあり、手術室改築の際にハイテクナビゲーション手術室というのを作った。
 開腹手術の場合、外科医はまず肝臓や腫瘍を触る。それから手術中の超音波で腫瘍とか血管の位置を確かめる。しかし腹腔鏡では触れないし、超音波も穴から入れるので操作性が悪い。重畳表示で中の構造が見えれば、非常にやりやすく安全性も増す。
 ―手術以外の治療法について教えてほしい。
 小池 電磁針をがん細胞に刺してラジオ波を流し、がん細胞を焼き固めるラジオ波焼灼療法(RFA)を中心に、針をがん細胞に刺しエタノールを注入して壊死(えし)させるエタノール注入法(PEIT)を追加するという治療法が多くの病院で行われている。
 また、肝臓の正常な細胞は門脈から栄養・酸素を受け取り、悪性になればなるほど肝動脈からの血流を受け取るようになる。その血流の差を利用して肝動脈をふさいで、がん細胞を壊死させる肝動脈塞栓術(TAE)も行われる。ただ悪性細胞といっても、100%動脈血流から栄養・酸素を受け取るわけではない。門脈から栄養を受けている肝臓がんもあるので根治性が悪い。このため塞栓術は根治性の高いラジオ波焼灼法を組み合わせるなどしている。
 施設は限られるが、放射線療法ではサイバーナイフ、陽子線治療、炭素線治療など先端的な治療方法も活用されている。(聞き手=解説委員・松本信彦)

〔後半へ続く〕肝がん、岡本友好、小池和彦医師に聞く(下)=患者の全面サポート目指す

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