インタビュー

肥満症、笠間和典医師に聞く(下)=減量外科手術、糖尿病にも期待

 ◇若い患者に勧めたい

 ―世界的には既にスタンダードな治療なのに、日本では海外に比べて遅れているということは、日本人には向かない治療なのでしょうか。
 笠間 いいえ、そんなことはありません。それどころか欧米人よりも日本人を含むアジア人にはとても効果が高い治療です。アジア人は欧米人に比べてインスリンの分泌量が少ないので、肥満症になると膵臓(すいぞう)の機能が早いうちから低下して、インスリンが出づらくなります。通常、糖尿病になるとインスリン注射でインスリンを補うのですが、減量外科手術をすると、インスリンの分泌を促す消化管ホルモンの分泌が増えるので、薬物治療では到達できないぐらいの効果が表れるのです。
 現在、糖尿病を患っている日本人でBMI27.5以上の人は糖尿病全体の15%なので、約150万人です。そのうち、自分で体重のコントロールができないであろう数十万人は症状がどんどん悪化し、透析を余儀なくされます。失明、足の壊死(えし)による切断、さらには死に至ります。内科治療で改善しない患者さんにとっては大変効果的な治療と言えます。
 また、高齢になって糖尿病を発症する人が増えているのも事実ですが、意外と知られていないのが、遺伝子異常により40歳以下で発症する若年性の2型糖尿病です。アジア人はこのタイプが欧米人に比べて多く、全体の2割を占めています。彼らが35歳まで糖尿病を発症した場合、徐々に症状が進行し、60歳までに6割の人が失明もしくは一生涯透析になるのです。これは社会的にも経済的にも大きな損失です。減量手術は、若くして糖尿病を発症し一生治療を続けなければならない可能性がある患者さんには、特に勧めたい治療法です。

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