治療・予防

ICU患者とのオンライン面会
~コロナ下で有用(東京医科歯科大学大学院生体集中管理学分野 野坂宜之講師)~

 コロナ下では、多くの病院で入院患者への面会が制限されている。特に、重症患者の治療を行う集中治療室(ICU)では、原則面会禁止にする施設が多い。しかし面会は患者、家族共に重要な意味があり、患者と会えないことで家族が心身に不調を来すこともある。ICUでの「オンライン面会」を始めた東京医科歯科大学大学院(東京都文京区)生体集中管理学分野の野坂宜之講師に聞いた。

タブレット利用し家族と「面会」M220418JSG8071

 ▽家族にも集中治療後症候群

 ICUの患者は、1日中さまざまな医療機器に囲まれ、寝たきりで治療を受ける。そのため、運動機能や認知機能が低下したり、うつ病、不安などの精神症状を起こしたりすることがある。これは「集中治療後症候群(PICS)」と呼ばれ、長期的な病状経過に影響する。

 PICSはICU患者の家族に起きることもある。「患者家族のPICSは『PICS―F』と呼ばれます。不安、うつ、不眠などが主な症状で、長期にわたり高い割合で表れます。患者が重症であるとき、患者や医療従事者とコミュニケーションが取れないときなどに起こりやすいと言われています」(野坂講師)

 ▽週2、3回の面会が可能に

 「PICS―Fの予防は患者さんのPICS予防にもつながります。そこで、画面の大きな通信機能付きタブレットでのオンライン面会を始めました」と野坂講師。ところが、タブレットなどの端末を持っていないなどの理由で、家族の約4割がオンライン面会を一度は諦めざるを得ない事態に。

 そこで2021年5月から、シャープ(大阪府堺市)との共同研究で、タブレットの無料貸し出しによるオンライン面会を行うシステムを導入。「家族と病院の間でだけ使える専用タブレットで、操作も簡単です。貸し出した家族の約7割が中高年、約3割が遠隔地に住む人でした」

 オンライン面会により、「患者当たり平均週2、3回の面会が可能になり、看護師らが家族の状況を知る機会も大幅に増えました。満足度も非常に高かったので、今後も高い効果が期待できます」とみている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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