インタビュー

各県にコロナ重症者の専門施設を
~未知の感染症にも対応―昭和大学病院長~

 新型コロナウイルスの感染者数はピークを越えたが、各地で増減を繰り返している。オミクロン株は既存の変異株に比べて重症化率は低い。しかし、秋以降の感染再拡大や未知の感染症に備えて重症者を治療する医療体制の整備が引き続き求められている。

相良博典院長

 「軽症で終わることが比較的多いオミクロン株でも一定の比率で肺炎が進行し、集中治療室(ICU)などでの酸素投与や呼吸管理などの措置が必要な重症者が出てくる。ワクチンや治療薬があっても、医療が重要な役割を果たすのはこのような重症者に対してとなる」-。ピーク時に重症者を含む50人以上の患者を受け入れていた昭和大学病院(東京都品川区)の相良博典院長(呼吸器・アレルギー内科)は強調する。

 「比較的軽症の肺炎初期は症状の把握が重要なので地域の医療機関で十分だが、呼吸障害が生じてしまえば人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を使った呼吸管理が必要になる可能性がある。これまでは大学病院などの高度医療機関が対応してきたが、大学病院の多い東京都内でも病床数は70前後。スタッフ確保の問題もあるので、実際に対応できる数はさらに少ないのが実情」-。相良院長はこう指摘した上で、一般患者よりも対応が難しい小児や妊産婦、透析患者などへの対応も考えれば、「これらの医療機関では対応しきれなくなる段階が来る」と問題点を指摘する。

 相良院長が提案するのが、呼吸障害を起こした重症者を受け入れる専門の医療機関の開設だ。「できれば各都道府県に1施設。ECMOなどの機材とそれを扱えるスタッフを配置する。患者が増えた際には事前に協定を結んだ医療機関から応援スタッフを派遣してもらう形が望ましい」と語る。

 「このような施設に連携スタッフを配置すれば、情報の共有化はもちろん、重症患者の緊急搬送や回復した患者を地域の医療機関に引き渡すことなども効率的にできる」と相良院長は訴える。その上で、「このような施設は新型コロナだけのためではない。未知の感染症や強毒性インフルエンザの流行の際にも、最後の防衛線としても機能する」と説明。「建物自体は既存の医療施設を流用すれば、機材と人員の手配はこの夏までにもできるはず」と指摘する。(了)

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