遺伝性の難病だが克服可能=ウィルソン病は早期対応を
遺伝性の病気には難病が多いが、中には早期から適切な治療を開始することで克服できるものもある。全身の臓器に銅が蓄積して障害を来すウィルソン病はその一つだ。東邦大学医療センター大橋病院(東京都目黒区)小児科の清水教一准教授に話を聞いた。
◇肝臓や脳、目に症状
銅は体に必要なミネラルで、食物から摂取する。腸で吸収された銅は、一部は臓器に運ばれ、残りは肝臓から胆汁の中に排せつされる。ウィルソン病は先天的に銅の排せつ機能に障害があり、銅が体内にたまる病気だ。銅の運搬に関係する遺伝子の異常によって起こることが分かっている。
銅が肝臓に過剰に蓄積されると疲れやすくなったり、皮膚や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)が出たり、足がむくんだりする。治療せずに放置すると、やがて肝硬変から肝不全を起こして死に至ることもある。「症状がなくても検査値が肝機能の異常を示し、詳しく調べるとウィルソン病ということもあります」と清水准教授。
銅を肝臓にため切れなくなると、血液中に漏れ出て全身を巡り、脳や目、腎臓などにたまるようになる。脳内でトラブルが起きると、ろれつが回らなくなったり手足が震えたりする。口が半開きになり、よだれを流すこともある。また、目に沈着すると角膜の周囲にカイザー・フライシャー角膜輪と呼ばれる青緑色か黒褐色の輪ができるのが特徴だ。腎臓に銅がたまって血尿が出ることもある。
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(2017/07/14 10:09)