ウィルソン病〔うぃるそんびょう〕 家庭の医学

 ウィルソン病はアメリカのウィルソンによってあきらかにされた疾患です。10代半ばから振戦などの不随意運動と肝機能障害で発症します。
 原因は常染色体劣性遺伝によるもので、血液中で銅を運ぶセルロプラスミンというたんぱく質に異常があります。このためからだのあちこち、特に脳と肝臓と目に銅が蓄積していきます。くろめとしろめの境に灰緑色の沈着が見られるのが特徴で、これを発見者の名前をとってカイザー・フライシャー輪と呼びます。

[治療]
 銅と結びついてこれを体外に排出するペニシラミンを長期服用することと、銅を多く含む食品、特にチョコレート、エビ、カニ、木の実などをとらないことが大切です。治療をしないと、肝硬変が悪化して20代で死亡します。きちんと治療をすれば、2年で正常化します。ただし、治療は一生継続する必要があります。ウィルソン病は肝移植によって完治します。ただし、神経症状は残ります。なお、ウィルソン病は国が指定する難病医療費助成制度の対象疾病(指定難病)になっています。

(執筆・監修:一口坂クリニック 作田 学)