インタビュー

健康管理、十分な準備を=中高年の山登り―高山守正医師

 山登りが性別、年齢にかかわらず静かなブームになって久しい。一方で山岳遭難も増加傾向にあり、2016年の遭難者数は3000人近くに達した(警察庁発表)。うち8割近くは40歳以上、5割超は60歳以上が占め、不十分な装備や無理な計画、健康管理の甘さが指摘される。中高年の山登りについて、榊原記念病院(東京都府中市)の特任副院長・循環器内科部長、高山守正医師に聞いた。

 ◇山でのけが

 高山医師は仕事の傍らで、日本医科大学山岳部OBおよび日本登山医学会山岳診療委員会委員として、例年夏場には北アルプスの薬師岳太郎平の診療所や富士山8合目の診療所で活動。さまざまな形で山の救急医療に関わってきた。

 山のトラブルで最も多いのはけがだ。警察庁の発表によると、16年の遭難者2929人のうち、病気は229人で、けがにつながる滑落498人、転倒471人などに比べて少ない。

 高山医師は「北アルプスは、剱岳や穂高の涸沢などに雪渓がある。岩登りの名所もあるので大きな事故がよく起きる」と話す。ねんざや骨折の場合は、「動かさない」「冷やす」「固定する」が応急処置の基本。山岳診療所で患部を固定するなどし、症状が重い場合はヘリコプターで病院に搬送する。

 近年では大きなけがでのヘリ搬送は一般的で、高山医師の担当した薬師岳、雲ノ平、黒部五郎岳などの地域では、例年夏だけでも15件程度に上るという。

 ただ、登山でのけがといっても大半は重篤でないケースが占める。「高山植物が傷まないように造られた木道から、滑り落ちる事故も目立つ。転んで骨を折ったり転倒してねんざしたりする」と高山医師。「誰でも転倒したり足を踏み外したりするが、年齢層が高くなると筋力が弱くなり、余計に事故が起きやすくなる」

 ブームを背景に、懸垂を1回もできないような女性が無理な登山をして負傷するケースも見られるといい、同医師は「非常に危険なので、身の程を知ってトレーニングを積んでから山登りをしてほしい」と注意を促す。

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