インタビュー

健康管理、十分な準備を=中高年の山登り―高山守正医師

 高血圧と服薬

 山での病気はけがに比べると少ないが、急性疾患で重篤な状態になる場合もあり、侮れない。病院が近くにない環境下のため、死に直結する可能性があるからだ。

 山登りは交感神経の働きを増すので、登山開始直後の血圧は上昇する。高山医師は「以前調査したところ、40歳以上の登山者の3割は高血圧など何らかの病気で薬を飲んでいた。高血圧の人は薬の飲み忘れには要注意だ」と話す。

 数日にわたる登山の場合、高所に滞在していればそのうちに血圧は落ち着くが、最初の2、3日間はどうしても高くなりがちだ。こういう時期に脳梗塞を起こす場合があるという。

 登山で起きやすい急性疾患は脳梗塞以外にも、心筋梗塞、心不全脳卒中くも膜下出血脳出血などがある。「富士山は安全な山に見えるかもしれないが、急性疾患で毎年数人は死亡している。重症例にも何度もお目にかかった。心筋梗塞を起こすと約30%が30分以内に心停止を起こすので、すぐ心臓マッサージをしたりAEDを使う必要がある。5合目まで搬送し救急車で送っていくものの、助かるケースはほとんどない」

 気を付けるべきなのは、血圧やコレステロール値が高く薬を服用している人、以前大きな病気をした人、過去に手術を受けた人など。「山岳診療所では基本的に応急処置しかできない。かかりつけ医の判断を事前に仰ぐことが重要だ」


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