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東京慈恵会医科大学 大学院医学研究科
2024年4月、医科学専攻修士課程遺伝カウンセリング学を新たに開設 ~遺伝医学の最新知識と人間性溢れる認定遺伝カウンセラー®の育成を目指します~

 東京慈恵会医科大学は、2024年4月より大学院医学研究科に医科学専攻修士課程 遺伝カウンセリング学を開設いたします。認定遺伝カウンセラーの養成専門課程は2024年1月現在、本学を含め、全国28大学に設置されておりますが、認定遺伝カウンセラーは400名に満たず、決して十分な人数とは言えません。今後、遺伝情報を利用した医療は急激に拡大することが見込まれ、遺伝医療・ゲノム医療に携わる人材の充実が急務であると言えます。

 本学は、2024年度の大学院医学研究科医科学専攻修士課程の開設に向けて文部科学省に申請を行い、2023年9月4日付で認可されました。創立140年を超え受け継がれてきた建学の精神「病気を診ずして病人を診よ」に基づき、技術的な側面だけでなく、多様性を尊重し、全人的な人間性を有した医療人として認定遺伝カウンセラーを育成いたします。

 本課程の概要は下記のとおりです。

開設の目的
 遺伝情報を利用した医療は急激に拡大しておりますが、その患者が納得し家族全員の健康へも思いを巡らしながら享受するには、遺伝カウンセリングは必須であり、それを担う認定遺伝カウンセラーの育成は急務です。
 知識・技術に裏打ちされた医学的情報の収集・情報提供のみでなく、相談者(クライエント)とその家族の多様な社会的背景、価値観など、物語と対話(ナラティブ)な側面に配慮しながら信頼関係を構築できる認定遺伝カウンセラーの育成は、本学の建学の精神「病気を診ずして病人を診よ」にまさに合致しており、本学が果たしうる重要な社会貢献です。
 さらに、本学附属病院等において建学の精神に沿った全人的な医療を進めるためにも、優れた認定遺伝カウンセラーを育成する意義は大きいものです。
 以上から、本学の大学院医学研究科に医科学専攻修士課程を設置し、認定遺伝カウンセラーの育成を行います。

大学院医科学専攻の教育の特色
 本学の建学の精神「病気を診ずして病人を診よ」に基づき、遺伝医療における高度な知識・技術に加えて、豊かな人間性とコミュニケーション能力、国際的視野、多様性を尊重する姿勢を兼ね備え、高い実践能力を有する遺伝カウンセラーを育成し、さらに、研究によって社会に貢献できる素養を身に付けることを目指します。

■国際的な視野に立った知識と実践の習得
 遺伝カウンセリングの発祥は米国であり、常に遺伝カウンセリングの臨床研究をリードしています。我が国の文化や社会的背景、医療制度の仕組みを理解しながら、遺伝カウンセリング関する教科書として原著の英語版を用いることによって、北米さらには国際的な遺伝カウンセリングにおける知識や状況を習得します。
 また、遺伝カウンセリングに関する英語の論文を読み、海外の遺伝カウンセリングの学会に参加し、最新の情報を収集したり、海外の遺伝カウンセラー修士課程とのオンラインでの交流を図ります。

■医療系バックグラウンドではない学生への対応
 医学の基礎を確認し、かつ最新の医学、医療の知識を学ぶための科目を用意します。1年次の必修科目とし、原則対面にて履修を行います。
 人文系や生命科学系の学生には、その到達度に応じて補講や課題を通じて医学、医療の基本的な知識を習得できるように支援します。

■多彩な領域の遺伝診療、遺伝カウンセリングへの早期からの陪席
 本学附属病院遺伝診療部では非常に幅広い領域の遺伝診療・遺伝カウンセリングが行われています。1年次後期より、それらの外来の見学を行い、症例カンファレンスに参加します。また、課外活動として、難病キャンプでのボランティア、家族支援団体への参加を勧奨し、可能な範囲で参加して生活者の視点から遺伝性疾患について学びます。

■徹底的なロールプレイ演習
 遺伝カウンセリング演習や遺伝カウンセリング実践論、遺伝カウンセリング実習の際、ロールプレイを1年次より行いながら、ロールプレイ振り返り票による毎回のフィードバックを行い、遺伝カウンセリングの理論から面接スキルなどを学びます。
 このフィードバックや遺伝カウンセリング実習においては、教員との対話を重ねることによって豊かなコミュニケーション能力や多職種と協働する能力、多様な社会的背景、価値観など、ナラティブな側面を理解できる能力、さらには社会貢献への使命感を涵養します。

大学院医科学専攻の概要
設置期日    2024年4月1日開設
キャンパス    西新橋キャンパス(東京都港区西新橋3-25-8)
修業年限    2年
入学定員    1学年 2名(収容定員4名)
学位    修士(医科学)
専任教員数    14名(遺伝医学8名、腫瘍学3名、小児科学1名、内科学1名、がん看護学1名)
選抜方法    書類審査と面接により実施


大学院医科学専攻の3つのポリシー
■入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)
 本課程のカリキュラムを修得でき、修了時に求められる能力を達成できる学生として、入学時に以下の人材を求める。
①入学時に、学士相当の知識を有する者、特に人間科学系科目、自然科学系科目、医療系科目の修学に備えた知識を有する者
②遺伝カウンセリングの実践、研究の遂行に必須である遺伝カウンセリングに関する論文 等を読み内容を理解できる英語力を有している者
③医療専門職としてコミュニケーション能力、適性、倫理感、問題解決能力を有している者 ④将来、認定遺伝カウンセラー®として社会に貢献する強い意志がある者

■教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)
①医学や保健医療の基本的な知識、理論を学ぶため、基礎科目として「保健医療概論」「ヒトの解剖・生理学」「医療統計学」を配置する。
②遺伝カウンセリングの基盤を学ぶため,遺伝医学系の専門科目として「基礎人類遺伝学」「臨床遺伝学Ⅰ」「臨床遺伝学Ⅱ」「遺伝性腫瘍・がんゲノム医療」「ゲノムバイオインフォマティクス基礎」を配置する。
③遺伝カウンセリングの概念から知識・技術、倫理的側面を学ぶため、遺伝カウンセリング系科目として「遺伝カウンセリング概論」「遺伝カウンセリング演習」「遺伝カウンセリング実践論」を配置する。
④コミュニケーション能力、多様な社会的背景、価値観など、ナラティブな側面への理解を涵養するため、徹底したロールプレイを取り入れた科目を専門科目と遺伝カウンセリング系科目に複数配置する。
⑤実習・特別研究科目の「遺伝カウンセリング実習」は、本学附属病院を中心とし、多彩な疾患の遺伝診療、遺伝カウンセリングに様々なクライエントがセッションに満遍なく陪席をする。陪席したのちは遺伝カウンセリング記録を作成し、教員からのフィードバックを得る。
⑥実習・特別研究科目(遺伝カウンセリング研究)として、遺伝カウンセリングに関する研究を実践するための研究計画の立案や研究指導を行う「遺伝カウンセリング研究方法論」「課題研究」を配置する。
⑦医学研究科医学系専攻博士課程の共通科目「医療統計学」「遺伝子操作研究法」は、本課程のディプロマ・ポリシーにも合致するため共用する。
⑧遺伝カウンセリングに関する科目は、国際的な視野を重視するため海外の状況を学び、 原則教科書は英語原書を用いる。

■卒業認定・学位授与に関する方針(ディプロマ・ポリシー)
①保健医療に関する情報を多面的に理解し、科学的・論理的に考察することができる。
②遺伝カウンセリングに関する歴史、定義、理論、面接技法などの専門的な知識・技術に基づいて遺伝カウンセリングを実施できる。
③クライエントとその家族の多様な社会的背景、価値観など、ナラティブな側面に配慮しながら信頼関係を構築し、高度の倫理観と使命感も持って遺伝カウンセリングを実践できる。
④豊かなコミュニケーション能力を有し、多職種と協働できる。
⑤遺伝カウンセリングにおける課題を論理的に分析し、その解決に必要な研究を実践でき る。
⑥国際的な視野に立ち、遺伝カウンセリングに関する文献や情報を得ることができる。


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