治療・予防

精神科病院の無いイタリア=トリエステ市の脱施設化

 ◇オープンドアを適用

 「オープンドア(開放、無拘束)」の原則も徹底されている。同国では治療と司法を担う機関が明確に分けられ、治安のための強制入院はないが、強制的な治療が必要な場合も物理的な拘束、閉じ込めはしない。
 近年まで残されてきた6カ所の司法精神科病院の廃止も決まり、各州が触法精神障害者を受け入れる「レムス」と呼ばれる中間施設を設けて対応することが法律で定められた。

 一方、日本の精神科病床数は30万超、入院患者数は人口比、絶対数とも世界最多。改革の必要性は認識されているが、精神病床数はなかなか減らないのが実情だ。日本でもイタリアのような「脱施設化」は可能なのだろうか。

 「イタリアのように治安と医療を分け、精神科医療の全てに地域の保健当局が責任を持つことが理想ですが、今の日本の医療保健システムでは残念ながら不可能です」

 だが、地域で精神科医療を展開する「包括型地域生活支援(ACT)」や「オープンダイアローグ」などの新しい試みも始まっている。「それらを後押ししながら、日本で実現可能な地域精神科医療のモデルを考えていく必要があります」と、石原准教授は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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