Dr.純子のメディカルサロン

海外で失業、50代から再出発 栗崎由子さん

 私はつらいこと悲しいことを誰かに話すと、その現状を自分で肯定し、固定することになると思ったので、そういう現状に目を向けないようにしていました。それでも一人でできることには限界があります。そういうときは何でも話せる友人にスカイプで話を聞いてもらいました。話すと自分の気持ちが整理されていくのでとても救われました。友は「心のくすり」だとつくづく思います。

 また時々は山歩きに行きました。スイスには素晴らしい山が数多くあります。地元の日本人会が開催するトレッキングやスキーに行くと心の疲れがとれるように思いました。雪に覆われた広大なスロープ、威容を誇るアイガー北壁などを見ると、自分は小さな世界に生きているのだと素直に思えました。お金はなくても,心の健康には上手にお金を使わなければいけないと思いました。

 海原 現在のお仕事と今後についてお教えください。

 栗崎 私は現在ダイバーシティーコンサルタントとしてフリーで仕事をしています。スイスでは異文化マネジメントを、日本ではダイバーシティーマインドや、イノベーションマインド養成をテーマにしたワークショップを行っています。

 私は一人でも多くの人に垣根のない心と相手に対する尊敬の気持ちを持ってほしいと願っています。そういう気持ちで周りを見ると、学びや気付きを得られようになります。それはまた、自分が無意識のうちに持っている思い込みを外し、自由な発想ができるようになるプロセスでもあります。

 そういう気付きを体験していただき、また気付く力を養っていただくために、参加者が自らテーマについて考えるワークショップや研修を行っています。そこには私の欧州での経験も織り込まれています。

 2017年7月からどなたでも参加できるオンラインセミナー「地球市民塾」を開始しました。いろいろな仕事を通じて世界の国々と関わって働いてきた人を毎回ゲストにお迎えし、視野を広げたい方や外国に興味がある方がビデオ会議システムを通じて対話し、学び合うことを目的としています。お集まりの皆さんが今まで知らなかった新鮮な考え方、生き方に接し、それを日々のエネルギー源にしていただけたらと思っています。

 また、私はジュネーブで「Atelier(アトリエ)50+」という小さなワークショップを自主開催しています。これは仕事を探す50代以上の女性が集まり、経験や情報を交換したり、ネットワーキングのコツなど仕事探しを支えるスキルや知識を学んだりする集まりです。失業したとき孤独がとてもつらかったので、同じ境遇の女性たちが出会う機会を設けて勇気づけたいと思い、始めました。


栗崎由子さんのサイトは こちら


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