Dr.純子のメディカルサロン

海外で失業、50代から再出発 栗崎由子さん

 海原 逆境を生き抜く資質はどこから生まれると思いますか。

 栗崎 そういう資質はきっと誰もが持っているのだと思います。ただ、そこまで追い詰められていないというか、「生きねばならない」という生物としての最低ラインに直面するところまでいかないと、その資質に気付かないのではないかと思います。

 私は失業体験から、人間は心が深く傷ついても、またいつか立ち上がれることを学びました。人はいつからでも生き直せるというメッセージを、思いがけない苦労に直面しながらも人生とがっぷり四つに組んで生きている方たちに送りたいと思い、失業体験を書いて出版しました。(『女・東大卒、異国で失業、50代半ばから生き直し』、パド・ウィメンズ・オフィス、2014年)

 私は前に進むことが好きで楽しいのです。何かを新しくつくっているとき、心がわくわくしますし、いろいろなアイデアが湧いてきます。

 失業は行動する大切さを私に強く教えました。行動すると自分があらかじめ想像もできなかったことが次々に起きます。その展開が次々につながっていつか別の大きな展開になる。それが人生になっていくように思います。

 私は米アップルの創業者スティーブ・ジョブズの言葉「Connecting the dots(点と点をつなぐ)」が好きです。私はキャリアアップという考えなど全くなく生きてきましたが、振り返ると今までしてきたことのいくつかの点はいつか線となり、すべてどこかで役立って私を支えていると思います。人生に無駄はないんです。これからもそう思って生きていこうと思います。

(文 海原純子)



栗崎由子(くりさき・よしこ)

 ダイバーシティー・マネジメント・コンサルタント。放送大学非常勤講師(ダイバーシティー担当)。日本企業(NTT)を皮切りに、渡欧後は国際機関(OECD)や多国籍企業のビジネス現場で30余年経験を積む。2014年独立。日欧企業やNGOのリーダー向けに、国籍、文化、性別などの違いを資源に変えて仕事を進める人材の育つ研修を提供。スイスでの失業経験から欧州で一人で生きる経験をつづった著書「女・東大卒、異国で失業、50代半ばから生き直し」(パド・ウィメンズ・オフィス刊)がある。1989年より欧州在住。


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