Dr.純子のメディカルサロン

肺がんと闘う 患者NPO代表 長谷川一男さん

 海原 17年の通常国会で受動喫煙防止の法案が成立しなかったこと、また政治家が「がん患者は(たばこの煙のあるところで)働かなければいい」という発言をしたことでサバイバーの方は非常に理不尽な気持ちになったと思います。そんな中で長谷川さんは患者会の方々に緊急アンケートを実施して調査結果を今回の世界肺癌(がん)学会で発表しました。詳しく教えてください。

 長谷川 世界肺癌学会で5分間、講演させていただきました。内容は、肺がん患者が受動喫煙を受けている現状に関しての調査結果です。国内に11ある肺がん患者会の連合組織である日本肺がん患者連絡会を中心に、17年5月28日から6月1日までの5日間で215人の肺がん患者を対象にアンケートしました。

 まず明らかになったことは、肺がん患者は、受動喫煙に対して、好き嫌いの感情ではなく、恐怖の感情を抱いていることです。その煙に、再発や増悪の恐怖を感じているのです。

 続いて、どの場所で肺がん患者が受動喫煙しているかも分かりました。1位は飲食店(87%、複数回答可)です。受動喫煙防止ではどこまで法規制するかが焦点になっていますが、私たち肺がん患者にとっては、飲食店が最も受動喫煙をする場所です。欧米と同じく屋内の全面禁煙を要望したいです。

 また職場でも31%もの方が受動喫煙していると答えました。職場においては、喫煙室などが設置され、分煙が進んでいるようにも見えます。ところが宴会などで喫煙可能な店が選ばれる。そこで顧客が吸う、上司が吸うなど事情を抱えている人への配慮はまだまだ進んでいない状況が分かりました。



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