ダイエット依存症に注意
社会的背景も影響
数ある依存症の中で「ダイエット依存症」は、女性が最も陥りやすい依存症の一つだ。1975年くらいまでは、肥満度を示す肥満指数(BMI)が22という標準値が、女性の身体意識として受け入れられていたが、最近は20を切る数値でないと受け入れられなくなっているという。市橋クリニック(東京都渋谷区)の市橋秀夫院長は「女性が置かれている社会的背景が、ダイエット依存症に拍車をかけています」と話す。
◇自立への強迫観念
ダイエット依存症は、精神医学的には摂食障害に当てはまる。体重増加を恐れて極端なダイエットをし続ける神経性やせ症で、近年では食べないで痩せようとするタイプより、過食し自己嘔吐(おうと)や下剤などの乱用でバランスを取ろうとする過食・排出タイプが増加しているという。
市橋院長は、女性がこうしてダイエット依存症に陥る背景には、社会進出と自立しなければいけないという強迫観念があるからだと説明する。
「女性は家庭に収まるのが理想とされた一昔前と違い、現代ではスリムで活動的、自立していることに価値があるという考えができ上がってしまっています」
人からどう見られているかが気になり、理想の自分はこうだという自尊心が強く根底にあるため、ありのままの自分を受け入れられない。すると、誰もが憧れる痩せた体形に価値を見いだし、体重の増減が自己評価と連動してしまうという。「異性の視線よりも同性との勝ち負けが摂食障害の本質です」と市橋院長は話す。
(2018/05/14 12:43)