ヘルスコミュニケーションDr.純子のメディカルサロン

金メダリスト・小平選手を支援
相澤病院・相澤孝夫最高経営責任者

 ◇病院全体でパワーを出すのが仕事

 海原 でも企業は支出に敏感です。特に人件費は抑えようという時代です。

 相澤 そうそう。部門ごとの採算性も厳しく問われているよね。企業だけでなく、病院でも「小児科はもうけが少ないからやめる」とか、「収入が少ないから患者さんを増やして稼げ」とか、それはすごくおかしい話だと思う。組織内のさまざまな事柄をしっかりと管理して、組織全体のパフォーマンスを保つのがトップマネジメントの仕事ですよね。


 海原 人件費をカットすれば済む問題ではないですね。

 相澤 部門別に原価計算を懸命にやったりするけど、病院に求められているのは総体としてのパワーじゃないですか。だから、ある診療科があまり収益を上げられなくても病院に絶対必要なら、他の診療科が「いいよ。俺たちが頑張るから」となるのが、働きがいというか、一種のモチベーションにつながると思っている。「もうからないからやめる」なんて、ふざけるなと思う。

 小平さんの話にしても、「こういう子がいるから助けてやろうよ」って言ったら、経理部門から「いくらかかりますか」と聞かれる。でも「1人分の給料だよ」と言えば、職員1800人のうち1人、2人は反対するかもしれないけれど、病院全体で見ればもう反対の声は出ませんよ。


相澤孝夫医師(左)と小平奈緒選手
 海原 すてきですね、それ。

 相澤 僕はそういう「病院文化」をつくってきたつもりだし、だから僕のところでは絶対、部門別原価計算なんてやらないんです。病院全体でパワーを出すようにするのがトップマネジメントの仕事ですから。


 海原 すごく分かります。でも病院内で働く人たちの間に信頼感がなかったらできないですよね。

 相澤 できないと思う。それとやっぱり、この病院は何をする病院なのかという目的を明確にしなければならない。それを達成するためにみんなで助け合ったり、切磋琢磨(せっさたくま)したりしながら、全体で頑張ってやっていくことじゃないかと僕は思うんだよね。


 海原 小平選手の件はその象徴ですね。

 相澤 そう。だから、「よくお金出しましたね」とか言われるけれど、僕は支援しているつもりは全くないんだよね。

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