ヘルスコミュニケーションDr.純子のメディカルサロン

金メダリスト・小平選手を支援
相澤病院・相澤孝夫最高経営責任者

 ◇リーダーはぶれないことが大切

 相澤 「需要があるところには経営の上昇気流が必ずある」という言葉をある人に教わったのだけれど、その気流にどうやって乗るかということじゃないかな。もちろん、上昇気流があるところが分からないとだめで、それを自分で見つけて乗るということ。そういうことやってると幸運が転がり込んでくる。

 すぐもうけにつながらないことを言っていても、正しいことで需要があることをきちんとやっていれば、3年ぐらいのギャップはあるんだけれど、そこに診療報酬が手当てされたり、やって当たり前の取り組みになったりする。

 そういうことを何度も繰り返しているうちに、「あいつの言うとおりにやっていれば必ず良くなる」という妙な神話みたいのができちゃう。そう言われるのは嫌なんだけれど確実にそうなる。


 海原 それ大事ですよね。「あの人に付いていけば大丈夫」というのは心理的にはすごく大きなパワーになります。

 相澤 それがトップマネジメントをやる場合に一番大事なことです。逆を言えば、成功に導けるようなものを選ぶということですよね。すると周りは成功体験を得るからその人を信頼する。

 それからもう一つ、これもある人に言われたのだけれど、やっぱりリーダーに大切なことはぶれないことです。例えば「365日24時間、救急患者を絶対断らない」と決めたら、何があっても譲らない。だから救急医が辞めて大変になっても相澤病院の連中はみんなで交代して救急部門を助ける。

 「絶対断らない救急をやるんだ。そのためにどうするかみんなで考えてくれ」と言い続ける。「救急医が辞めちゃったから土日は受け入れを少し断ろうか」と言ってしまったら、たぶんだめなんだと思うんだ。

 つらくても大変でも、そのとき頑張る。頑張っていればまた救急医が就職してくれる。救急医にだって都合があるんだから、辞めて少なくなるときもあるし、増えすぎちゃうこともある。でもさまざまな状況に柔軟に対応できれば、それでいい。揺らぎや柔軟性はすごく大事で、みんなが工夫すれば決してできないことじゃないと思いますよ。


 海原 決してぶれず、柔軟性とつながりを大切にして組織全体を生かす。小平選手への支援はそうした精神の一つの象徴という気がしました。きょうはお忙しいところすてきなお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

(文 海原純子)

相澤孝夫(あいざわ・たかお)

医学博士、社会医療法人慈泉会相澤病院最高経営責任者、日本人間ドック学会副理事長、日本病院会会長。1973年東京慈恵会医科大卒。信州大医学部付属病院勤務を経て、88年社会福祉法人恵清会理事長、94年相澤病院理事長兼院長。相澤病院は、国際基準の医療の質と患者の安全を担保した医療施設であること評価する米国の非営利組織Joint Commission International(JCI)の認定を受けている。

長野県松本市の相澤病院(全景)

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