Dr.純子のメディカルサロン
金メダリスト・小平選手を支援
相澤病院・相澤孝夫最高経営責任者
海原 今はどのようなお仕事をなさっていますか。
相澤 平日は厚生労働省からの報告を聞いたり、日本病院会が関わっている理事会や評議員会などさまざまな会合に出たりしています。日本人間ドック学会では副理事長をしています。メンバーは何か型にはまったことをやりたいようなんだけど、僕は「それは少し違うと思う」と言っている。でも厚労省やさまざまな関係団体との調整はなかなか思うようにいかず、むしろどんどんどんどん違う方向に行っちゃうような感じがしてストレスは大きい。
将来像が見えないから今をなんとかしようと必死になって、そればかりにとらわれている。だから僕は皆さんに5年後のビジョンを聞くようにしています。それを目指して今は大変でも頑張りましょうとなるし、そのビジョンに向かっているのに今これをやるのはおかしいんじゃないかといった議論もできる。それが本当に大切なパワーになってくる。目先のことだけ考えていたら絶対に良いことなんてないと思うよ。5年後はこうなっているだろう、10年後にこうなりたい、というのがないと面白くない。
小平さんのことも同じ。すぐに金メダルを取れる選手になるなんて誰も思ってなくて、それを目指して頑張っているから少しずつその方向に動いていく。
海原 最近は若い人たちも含めてすぐに結果が出ないことを嫌がる傾向があると思います。
相澤 先日、相澤病院で仕事漬けだったとき職員たちが「先生たまには1杯いきましょう」と誘ってくれた。大変なときに「大変だよね」と言い合える、そういう助け合いみたいな感覚もなくなっているような気がする。
病院の関連施設でトイレを掃除してくれるおばさんに会うたびに「本当にありがとう。ご苦労さま」って言ってたんだよ。おばさんは掃除だけじゃなく、週1回くらい自分で花を買ってトイレに飾ってくれる。僕が年末に少しお礼を渡したら、今度は彼女が年明けに「こんなの買ってきたので食べて」と何か持ってきてくれる。
人間関係ってそういうもんなんだよね。人間はそんなところからエネルギーをもらうのに、今はどんどん変な方に変わっている。みんなが互いに助け合いながら、頑張れる人は頑張って、ちょっと疲れちゃった人には「いいよ、頑張らなくても」と言ってあげられるような組織、そういう優しさや人を思う気持ちを持つ病院にしたいんだけれどね。
(2018/04/28 16:00)