治療・予防

「乳がん世代」の妊娠、出産
重要さ増す検診

 厚生労働省の人口動態統計によると、2015年に第1子を出生した母親の平均年齢は30.7歳で、1985年より4.0歳高くなった。妊娠・出産の高齢化が進み、がんの早期発見をめぐる新たな課題が浮かび上がっている。日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)第三産婦人科部長の笠井靖代医師に聞いた。

 ▽妊娠や授乳で発見遅れ

妊娠きっかけに自分の体も大切に考えよう
 乳がんは30歳代から増加し始め、40歳代後半から50歳代前半までが発症のピークとされる。国は40歳以上を対象に2年に1度の乳がん検診を推奨しているが、13年の国民生活基礎調査での乳がん検診受診率(40~69歳女性)は34.2%で、海外に比べて低い。

 最近は出産年齢の高齢化により、妊娠、出産、育児時期と、乳がんが増える年代が重なってきている。笠井部長は、「乳がんが進行するスピードは、妊娠しているかどうかでは大きな差はありません。妊娠などでがんの発見が遅れ、予後が悪くなる方が問題です」と検診の重要さが増していると指摘する。

 妊娠すると女性ホルモンの作用で乳腺が発達し乳房が大きくなるため、乳がんのしこりが見つかりにくくなる。また、授乳期に異変に気付いたとしても、母乳の飲み残しだと思い込み、受診のタイミングを逃すケースもあるという。

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