治療・予防

ぜんそくと血管の炎症に効果
難病「EGPA」に新薬

 ぜんそくアレルギー性鼻炎が治まらず、血液中の好酸球が増加し、次第に血管の炎症で発熱、皮疹、手足のしびれなどを生じる「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)」。原因不明の希少疾患で、国の難病に指定されている。厚生労働省難治性血管炎班の班長としてEGPAの研究に携わる東京女子医科大学病院(東京都新宿区)膠原(こうげん)病リウマチ内科の針谷正祥特任教授に、病気の特徴と新しい治療法について聞いた。

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の主な症状

 ▽ぜんそくから血管炎に進行

 EGPAは血管に白血球の一種である好酸球が集まるのが特徴。集まった好酸球が血管に炎症を引き起こすため、血流が阻害され、皮膚や神経、内臓がダメージを受ける。その結果、発熱、手足のしびれや痛み、皮膚の点状の出血、筋力の低下、内臓の障害など、全身に症状が表れる。原因としてアレルギー反応が関係するとみられている。国内の患者数は約2000人と推定され、平均55歳で発症、女性の方が2倍多い。

 治療の基本は、ステロイド剤を用いて、症状が長期にわたって抑えられる「寛解

に導くこと。ステロイド剤は高い効果を示すが、長期間使用すると感染症や骨粗しょう症などの副作用の懸念がある。そのため、寛解に至った患者には使用を減らすが、「血管炎のみならず、ぜんそくの症状がぶり返すことがあります」と針谷特任教授。この点から、副作用が少なく、ぜんそくや血管炎の再発を防いで寛解を維持できる治療が望まれていた。

 ▽ステロイド剤を減量
 2018年5月には、メポリズマブという注射薬のEGPAへの使用が認められた。この新薬は、好酸球を増やし活動性を高める「インターロイキン5」という物質の働きを阻害する。既存薬で症状が改善しない、あるいはステロイド剤を減量できないEGPA患者に対する臨床試験では、新薬を4週間に1回注射し、それを1年間続けると、症状を抑えるだけでなく、ステロイド剤の減量や中止が可能であることが確認された。副作用には、注射した部位の腫れや赤み、頭痛などがある。

 針谷特任教授は「EGPAの症状がくすぶっている人、血液中の好酸球数が多い人、症状はコントロールできていてもステロイド剤を減らせない人が、特に新薬の対象になるでしょう」との見方を示す。

 一方で、新薬で症状を抑えられた場合、いつまで投与を続けるかについては明確な指針がなく、これから検証が必要だという。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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