2024/12/18 05:00
冬の気分低下どう乗り切る?
~少し速足で歩くと気分前向きに~
各企業で新入社員の研修が行われています。朝から夕方まで、びっしりと組まれたタイムスケジュール。10日間くらい講義が続く企業もあるようです。私も産業医として研修会でお話しすることがあるのですが、そのポイントは生活リズムです。
せっかく入社したのに出てきたのは1週間。そのまま会社に来なくなった、などということもあるのです。
今、4月病、5月病などといわれますが、そのほとんどは適応障害という状態でしょう。適応障害とは、明らかに「これ」と分かるストレス要因があって、3カ月以内に起きる症状です。
症状はさまざまで、自律神経のバランスの乱れから生じる動悸(どうき)、不眠、目まい、立ちくらみ、耳鳴り、胃腸症状(下痢など)、頻尿などが主体です。
また、気分の不安定、不安感やうつ症状など、気分障害を引き起こすこともあります。こうした症状が起こり、出勤できない、ということが多いのです。
では、新入社員にとってストレス要因は何なのか、気になるところです。指導する先輩社員は「仕事の事が心配なのだろう」と想像するものですが、実はちょっと違います。
もちろん、「仕事は大丈夫か」という懸念はあっても、新入社員にとっては別の心配事があり、これを把握しないと適応障害は防ぎ切れません。
◇新入社員のストレス要因、聞いてびっくり
というのは、研修会の時、20人ほどの新入社員に「これからどんなことがストレスのもとになると思うか」と、1人ずつ尋ねたことがあります。ちょっと驚いたのは、「仕事」と答えた人が一人もいないことでした。
最も多かったのは「朝起きられるかどうか」。2番目は「通勤の混んだ電車が大丈夫か」と「バスに乗るのが嫌だ」でした。3番目は「お金」(一人暮らしになるからだと思われます)です。
以下、「今までサッカーなど、運動をしていたのが、できなくなるのでつらい」「会社の人間関係が大丈夫か」「嫌な上司がいたら、やっていけるか心配」などでした。
あるいは、これまで通学でラッシュを避けてきた人にとっては、通勤が最大のストレス要因になりかねない、ということでしょう。
◇休日の朝寝坊、2時間を超えてはダメ
ですから、適応障害を防止するには、どうしても生活リズムを仕事に適応できるようにする必要があります。それが入社してから1カ月くらいで、とても重要になります。
特に今年は10連休の企業もあり、入社して間もなく連休が始まります。休日に「昼まで寝て、深夜までスマホ」などという状態が続くと、「時差ぼけ」状態になり、生活リズムが乱れて、連休明けに出勤できない、という状態になりかねません。
連休や週末土日の朝寝坊であっても、通常より2時間以上遅れて起床するのは避けてほしいと思います。「時差ぼけ」が起こります。
土日や連休は身体を動かす機会を多くつくり、通常の生活リズムを維持することが適応障害を乗り切る大事なポイントです。
(2019/04/10 06:00)
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