2024/12/18 05:00
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先頃、山形県沖を震源とする最大震度6強の地震が起こり、改めて、自然災害に対する備えについて考えなければ、と感じている方も多いと思います。
東日本大震災で次々と搬送される患者に医療活動を行う日本赤十字の医師ら=2011年3月12日、宮城・石巻市の石巻赤十字病院[日本赤十字社提供]
地震が起こると、すぐに避難ということが頭に浮かびますが、もし避難しようとしたときに、倒れた家具や崩れた柱などでけがをしていたら、どうしたらいいでしょう。
パニックにならずに対処できるよう、シミュレーションをしておくことも必要かと思います。
レスキューが来るまでの間をどうするのか。応急処置をして、何とか避難できるようにするのか。
身近にある物を使い、緊急時、慌てずに対処する方法について、救急医療の第一線で活躍する日本医科大学の横田裕行教授にお話を伺いました。
◇傘や段ボールを副木に
海原 地震が起きて、家の中で倒れた家具などがぶつかり、骨折することもあるかと思います。どこを骨折したかで違うと思いますが、腕などの場合で、周りの人や自分でできる範囲の必要な応急処置を教えてください。
東日本大震災で宮城県気仙沼市浪板付近の神社から、逃げ遅れた人を救出する東京消防庁のハイパーレスキュー隊=2011年3月13日[東京消防庁提供]
横田 骨折は、医療機関でX線撮影やコンピューター断層撮影(CT)を行わなければ診断が確定しませんが、上肢や下肢(腕や脚)の場合は受傷部位の強い痛みと腫脹(腫れ)、そして変形がある場合は骨折を疑う必要があります。
そのような場合、医療機関への受診が必要になります。それまでの応急処置として、受傷部位の固定を行う必要があります。具体的には、痛みと腫脹、変形がある部位の上下の関節を含んだ固定を行います。
例えば、傘や段ボールなどを副木として創部に当て、包帯やネクタイ等を用いて固定を行います。その後、速やかに医療機関を受診することが必要です。
◇なければレジ袋で代用
海原 傘や段ボールを副木にするんですね。出血が起きている場合は、これも重症度により異なると思いますが、自分や周りの人ができる応急処置や注意点などはありますか。
横田 出血で一番大切なことは、出血を止めることです。そのために最も有効なのは、出血部位を清潔なガーゼや布で強く押さえる直接圧迫止血を行うことです。
その際、血液に直接触れないように、ビニール手袋を使います。ない場合には、レジ袋を代用することも考慮してください。
さまざまな理由で、直接圧迫止血法ができないことがあります。上肢や下肢からの出血の場合は、出血している部位より心臓側に近い部位の動脈を手や指で圧迫する方法や、同部位付近を包帯やネクタイ等で強く締め上げ、止血する方法もあります。
西日本豪雨災害の避難所で、日本赤十字社の看護師(右)から、血栓ができにくくするストッキングの使い方の説明を受ける女性=2018年7月11日、岡山県倉敷市真備町地区
◇泥水の細菌に注意
海原 泥水の中でけがをしたり、土砂をかぶってけがをしたりしたような場合、特に気を付けることはありますか。
横田 泥水には有害な物質、細菌が多く含まれています。従って、けがをした場合は化膿する可能性が大きく、飲み込んでしまった場合は胃腸炎や肺炎を起こすことがあります。
ちなみに、津波の泥水が気管に入った場合に起こる肺炎を津波肺といい、怖い病気として知られています。
けがをした場合は、可能であれば、速やかに流水で創部を洗浄し、医療機関を受診する必要があります。
泥水を飲み込んだりした場合も同様で、症状がない場合でも、医療機関を受診することが大切です。
(2019/06/27 15:00)
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