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体内で作られるホルモンは100種類以上あり、毎日必要な量が過不足なく作られている。アジソン病は、副腎皮質で作られるホルモンが、何らかの原因で作れなくなってしまう病気だ。「副腎皮質機能低下症」と呼ばれるもののうち、後天性のものをアジソン病という。国立国際医療研究センター病院(東京都新宿区)糖尿病内分泌代謝科の田辺晶代医長は「アジソン病は症状が慢性的に進行するため、とても気付きにくい病気です」と注意を促す。
多岐にわたるアジソン病の症状
▽副腎の破壊が進行
副腎は左右の腎臓の上に位置し、外側の皮質と内側の髄質の二層から成る。血圧や血糖の調節、新陳代謝など、生命維持に欠かせないホルモンを産生しているが、皮質で作られるはずのコルチゾールやアルドステロン、アンドロゲンといったステロイドホルモンを作れなくなるのがアジソン病だ。
原因は幾つか挙げられる。代表的なのが副腎の結核菌感染で、他にもがんの転移やエイズ、悪性リンパ腫などで副腎皮質が破壊されると発症する。原因が特定できない特発性もある。田辺医長は「特発性のアジソン病は自己免疫性の病気と言われ、体内に副腎を攻撃する自己抗体ができ、副腎が破壊されると考えられています」と説明する。
アジソン病の症状は多岐にわたる。疲れやすさ、脱力、食欲不振、吐き気や嘔吐(おうと)、下痢、体重減少などに加え、無気力や不安などの精神症状、月経異常や脇毛、恥毛の脱落などだ。特徴的な症状もある。「脳下垂体から大量に分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は、日焼けで肌を黒くするメラニンと同じ仲間なので、皮膚、爪やその周囲、唇や口腔(こうくう)内などに褐色の色素沈着が表れます」。血液中のナトリウム保持能力も弱まるため、低ナトリウム血症が見られることもある。
▽薬でホルモン補充
治療では、三つのホルモンのうち特に重要な、コルチゾールとアルドステロンの補充療法を行う。通常は飲み薬だが、具合が悪いときは点滴を行う。田辺医長は「薬は一生服用し続けなければなりませんが、普段通りの生活が送れるようになり、出産も可能です」と話す。ケガや感染症などが起こったときは薬を増量する必要があるが、慣れれば自分で調節も可能だという。ただし薬を中断すると体内のホルモンが消失し、急性副腎不全を起こすことがあるので、中断してはいけない。
アジソン病は、左右の副腎が90%以上破壊されないと症状が出ない。田辺医長は「ひどい疲れやすさや脱力などが長引くときは、内分泌科の専門医を受診し、検査を受けてください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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