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痔の症状と気付きにくいサイン 【第3回】
痔(じ)は、軽度であれば気付きにくく、症状が進行してから初めて「これが痔だったのか」と理解するケースが少なくありません。しかし、早期に発見し適切な対処を行うことで、日常生活への影響を最小限に抑えることが可能です。本コラムでは、痔の初期症状や見逃しがちなサイン、さらにはセルフチェックや予防策について詳しく解説します。

痔は痔核、裂肛、痔ろうの三つに分けられる(イメージ)
◇痔の種類と初期サイン
痔は主に以下の三つの種類に分けられ、それぞれに特有の初期サインがあります。
・痔核(いぼ痔)
内痔核:肛門の内側に発生します。初期段階では痛みを伴わず、排便時の出血が主なサインです。トイレットペーパーや便器に鮮血が付くことがあります。進行すると肛門外に痔核が飛び出す「脱出」という症状が見られます。
外痔核:肛門の外側にできるため、硬いしこりや腫れを感じることがあります。痛みを伴う場合が多く、特に血栓が形成されると強い痛みを引き起こします。
硬い便や排便時の「息み」によって肛門が裂ける状態です。初期段階では排便時に鋭い痛みが生じ、トイレットペーパーに血が付くことが一般的です。慢性化すると、排便後も痛みが続くことがあります。
・痔ろう
肛門腺が感染し、膿(うみ)がたまることで形成されるトンネル状の疾患です。初期症状としては、肛門周囲に違和感や腫れ、時には膿の排出が見られます。放置すると発熱や強い痛みを引き起こすことがあります。
◇見逃しがちな痔のサイン
痔の初期段階では、以下のようなサインが見られることがあります。これらを見逃さないことが重要です。
①排便時の違和感
排便時に肛門が引っかかるような感じや、スムーズに排便ができない感覚がある場合、痔が疑われます。
②軽い出血
出血が少量であれば、気付かずに見過ごすことがあります。定期的にトイレットペーパーや便器をチェックする習慣をつけましょう。
③肛門周囲のかゆみ
内痔核や裂肛が進行すると、肛門周囲の皮膚が炎症を起こし、かゆみが生じることがあります。
④腫れや硬さ
外痔核が初期段階であれば、腫れや硬さが軽度で痛みを伴わない場合がありますが、進行すると痛みが増します。

便意を我慢すると便が硬くなり、排便時に肛門に過剰な負担がかかる(イメージ)
◇痔を悪化させるNG行動
痔の初期段階であっても、次のような行動を続けると悪化する可能性があります。
①便意を我慢する
便意を我慢すると便が硬くなり、排便時に肛門に過剰な負担がかかります。
②長時間のトイレ滞在
スマートフォンを操作しながらトイレに長時間座ることは、肛門に圧力をかけ、痔を悪化させる原因となります。
③不適切な拭き方
トイレットペーパーで強く拭くと肛門周囲の皮膚を傷つけ、炎症を引き起こします。ウォシュレットを活用し、優しく拭くことを心掛けましょう。
④過度なアルコール摂取
アルコールは血管を拡張させ、痔核の腫れを助長する可能性があります。
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(2025/03/27 05:00)