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脳の神経細胞が過剰に興奮して、意識障害やけいれんなどの発作が起こる「てんかん」。乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層で発症し、患者数は1000人に5~8人とされている。長期にわたり薬物治療が必要になる人も多く、女性の場合、妊娠や出産への影響も懸念される。しのみやクリニック(東京都千代田区)の四宮滋子医師に話を聞いた。
▽胎児奇形リスクの少ない薬を服用
てんかんは、治療によって発作が抑えられれば日常生活で行動の制限はなく、妊娠や出産も可能だ。
発作を抑えるには、抗てんかん薬による薬物治療を継続する必要があるが、古くから使われてきた抗てんかん薬の中には、胎児に心奇形や口唇裂、脊髄が皮膚の外に飛び出す二分脊椎などの奇形が生じる(催奇形性)ものや、生まれた子の認知機能の発達に影響するものもある。
催奇形性のリスクは、単剤服用時よりも多剤併用により高まることが知られている。
四宮医師は「妊娠の可能性がある女性には、妊娠前からできるだけレベチラセタムやラモトリギンなど催奇形性のリスクが低い薬で治療を開始します。単剤を原則とし、発作を抑えられる必要最小限の用量を決めます」と説明する。服薬中止が不可能な場合は、その患者にとって最適用量で薬の服用を続ける。
自己判断で服薬を怠ったり、不規則になったりすると、妊娠中に全身性の発作が起こるケースがある。その場合、胎児が低酸素状態になるだけでなく、切迫早産や流産の危険性が高まるため、注意が必要だ。
▽治療継続し妊娠中の発作を防ぐ
てんかん発作は、睡眠不足やストレス、過労、飲酒などによって誘発されることがある。ストレスをためず、睡眠を十分取るなど、規則正しい生活を送ることが重要だ。また、妊娠中に葉酸を摂取すると奇形の発生率が低くなるとされる。
出産は一般的に自然分娩(ぶんべん)が可能だが、万が一出産中に発作が起きても対応できる態勢を整えておく必要がある。また、出産後は育児に追われて、自分のことを後回しにしてしまう母親が多いので、育児や授乳による疲労や睡眠不足に陥ったり、薬を飲み忘れたりしやすい。これを避けるためには家族のサポートが不可欠だ。
「てんかんを理由に妊娠や出産を諦めてしまう人もいますが、多くの女性が妊娠、出産に至っています。妊娠の可能性のある思春期から医師と十分相談し、妊娠を考慮した薬剤や用量を選択するなど計画的に治療を進めましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)
(2019/11/23 07:00)
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