二分脊椎〔にぶんせきつい〕 家庭の医学

 胎児の発生の過程で、背骨のうしろの部分で脊髄(せきずい)をおおっている椎弓(ついきゅう)に欠損ができる先天奇形です。多くは腰仙椎(ようせんつい)に発生します。
 小さな欠損から大きな欠損までさまざまで、小さな欠損の場合には皮膚や筋肉はほぼ正常で、症状はあらわれません。この場合は潜在性二分脊椎と呼ばれますが、腰仙部の脂肪腫や皮膚洞を合併することがあります。皮膚洞(皮膚のくぼみ)は肛門の上のくぼみや深い穴で、多くは底があり、盲端(端が閉じている)となっています。まれに硬膜と交通していることがあり、この場合には治療が必要となります。
 大きな椎弓欠損では欠損部分から神経組織が、神経組織を包んでいる硬膜とともに体外に脱出し、嚢状(のうじょう)になっています。この場合は顕在性二分脊椎と呼ばれ、嚢状の部分を脊髄髄膜瘤(りゅう)と呼びます。ただちに手術で欠損部分をふさぐ必要があります。
 さまざまな程度の下肢のまひが残るため、装具による足の変形の予防、歩行訓練などのリハビリテーションをおこないます。排尿障害、排便障害も顕在性二分脊椎ではほぼ全例にみられ、自己導尿や排便訓練が必要となります。水頭症もかなりの確率で合併します。

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