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日本感染症学会と日本環境感染学会が7日、新型コロナウイルへの対応に関する医療従事者向けの緊急セミナーを東京都内で共同開催した。講演した専門家は、患者が今後増加する可能性を指摘するとともに、当初はせきや発熱など風邪に似た症状が続くこともあるなど、診療する上での注意点を説明した。
感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に向かう救急車(2月7日、横浜・大黒ふ頭)【時事】
国立国際医療研究センター・国際感染症センター長の大曲貴夫氏は1月19日に武漢市のホテルに宿泊し、日本で発症した30代女性のケースを紹介した。
37・5度の発熱で新型コロナウイルスを心配し、同センターを受診。この時は「急性上気道炎」と診断して帰宅させたが、発熱症状が改善しなかった。2回目の受診では胸部レントゲン検査を行い、新型コロナウイルスの可能性は低いと判断した。
その後も38度代の発熱が続いた。3回目の診察での胸部CT検査で新型コロナウイルスの可能性が強く疑われた。37・5度以上でかつ呼吸器症状を有するという届け出基準に該当しなかったものの、新宿保健所に連絡を取り、新型コロナウイルスであることが確定した。
◇中国の患者、氷山の一角
大曲氏は「中国の患者は重症に偏っており、氷山の一角だ。軽症の患者で、診断されていない人もいるだろう」とした上で、「新型コロナウイルスの感染力はインフルエンザと同程度ではないか」と述べた。
臨床現場での診断は難しい面もある。大曲氏は「これから患者が増加する可能性がある。発熱など風邪のような症状が1週間以上続く場合はおかしいと考え、新型コロナウイルスを疑ってほしい」と、アドバイスした。
感染症関係2学会のセミナー(2月7日、東京都港区の東京慈恵医大)【時事】
◇不明な点が多い
国立感染研究所感染症疫学センター第1室長の松井珠乃氏は国内で確認された20~60代の患者12例について「武漢市への渡航歴があるのは9例で、症状は肺炎が12例、発熱が11例、せきが8例だった」と説明。その上で「ウイルスによる感染可能期間、感染力、どんな症状が出るかという比率などは分かっていない」と述べた。
◇飛び込み患者への対応課題
菅原えりさ東京医療保健大学大学院教授は「現時点では、新型コロナウイルスへの感染が疑われる患者は、(武漢市への渡航歴や濃厚接触などの条件を満たして呼吸器症状発症し)保健所の指示を受けて受診することになっているので、病院側でも受診時の動線の確保などが事前にできる」との認識を示した。
しかし、今後市中での感染者が増えた場合は、「感染が疑われる患者がいきなり医療機関を受診する事例も想定される」と指摘。「そうなった時に入院患者などのハイリスク患者や病院で働く医療関係者への院内感染をどう防ぐかが、対応すべき課題になる。実際に、既に中国人などの旅行者が(発熱などの症状に)不安を覚えて医療機関を受診した例が各地で起きている」と懸念を示した。(鈴木豊)
(2020/02/07 17:02)
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