胸部CT検査 家庭の医学

 胸部CT(コンピュータ断層撮影)検査は、X線を使用して肺の横断面を薄く切断して画像化したものです。胸部単純X線検査が肺全体を1枚に圧縮してみているのに対して、CTでは撮影された断面ごとの構造物を描出することが可能なので、陰影の微細な異常や変化を詳細に観察することができます。

 これらの情報を総合して異常陰影がどのような病気を反映しているのかを推測します。ヨード造影剤を使用しておこなうCT検査では、血流が十分にあるところでは造影剤が移行するために、より明確に白く描出される心臓や胸部の血管と比較して、腫瘍やリンパ節腫大をはっきりと見きわめるのに有効となります。また、肺の血管がつまる肺塞栓症では、白く造影された血管内に存在する塞栓物の画像や、その塞栓により血流が遮断されるために突然途絶する画像として描き出されます。肺の細かい構造・異常所見が確認できる高分解能CT(HRCT)や、被ばく量を低く抑えた低線量CT(LDCT)もあります。

(執筆・監修:順天堂大学大学院医学研究科 准教授〔呼吸器内科学〕 十合 晋作)