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家族性高コレステロール血症(FH)は、悪玉と言われるLDLコレステロールの値が生まれつき高い遺伝性の病気だ。早期発見が難しく、治療を受けている人は一部にとどまる。そうした中、香川県では“オール香川”で小児を対象とした生活習慣病予防のための健診に取り組んでいる。
小学4年生を対象とした小児生活習慣病の予防健診を地域連携で実施
▽小学4年生が対象
日本では、200~500人に1人の割合でFH患者がいると推計されている。自覚症状が乏しいなどの理由で見逃されやすく、早期診断・治療が難しいのが現状だ。
香川大学医学部付属病院循環器内科の南野哲男教授によると、両親のどちらかから遺伝子変異を受け継ぎ無治療の場合、冠動脈疾患発症リスクが約13倍になると報告されている。「FHでは10歳前後から動脈硬化が見られると言われており、その段階で診断し治療を始めれば、治療後の経過改善が期待できます」と説明する。
糖尿病の患者が多く、受診率が全国でも上位を占める香川県では、生活習慣病とそれが原因で起こる心疾患などを予防するために、2012年度から小児生活習慣病予防健診を行っている。県下17市町で小学4年生を対象に血液検査を行い、糖尿病で異常の表れる糖代謝のほか、脂質や肝臓の機能を調べている。
▽親の病気発見にも一役
15歳未満の子どもの場合、LDLコレステロール値140mg/dL以上かつ家族(2親等以内)にFHか早発性冠動脈疾患(男性55歳未満、女性65歳未満で発症する心筋梗塞や狭心症)の人がいると、FHと診断される。小児生活習慣病予防健診でLDLコレステロール値が基準を超えた児童には、学校から近隣の医療機関への受診を勧め、FHの可能性がある場合は香川大学医学部付属病院など4カ所の病院で診断し、地域のかかりつけ医と連携して治療に当たる。
この健診を受ける児童は年間約8000人で、LDLコレステロール値が140mg/dL以上の児童は約300人。このうち20~30人がFHだという。南野教授らは、18年4月から金沢大学、大阪大学と連携して遺伝子検査も追加。それにより精度が上がり、親世代を含めて、年間約80人をFHと診断している。
南野教授は「小児生活習慣病の予防健診を都道府県が主体的に行うのは世界でも珍しい。子どもの動脈硬化、親の心筋梗塞や狭心症の発症予防につながる取り組みが、各地に広がることを期待したい」と話している。 (メディカルトリビューン=時事)
(2020/06/29 08:00)
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