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過敏性肺炎は、何らかのアレルギー反応が原因で生じる肺炎だ。症状は乾いたせきや発熱などで、初診時に診断されるケースは少ない。神戸大学医学部付属病院呼吸器センター(神戸市)の西村善博センター長は「過敏性肺炎は健康な人にも起こります。医療機関での治療に加えて、生活環境の見直しも必要です」と話す。
特定の環境下で乾いたせきや発熱を繰り返す
▽肺機能低下の恐れも
過敏性肺炎は、原因となる物質(抗原)によりいくつかのタイプに分けられる。夏型は、トリコスポロン・アサヒと呼ばれるカビの胞子を吸い込むことで起こる。鳥関連では、鳥類の羽根やふん、羽毛布団、羽毛製の衣類、職業性では例えばキノコ栽培農家であればキノコ類の胞子、加湿器肺では加湿器の中のカビが原因となる。
症状は、たんの絡まない乾いたせき、発熱、労作時の息切れで、熱は高熱に限らず普段より少し高いだけの微熱まで個人差がある。どのタイプも抗原に接して4~8時間後に症状が表れる。再発を繰り返すうちに、肺が硬くなり(線維化)、機能が衰える間質性肺炎へと進行する場合もある。
診断は、問診、肺のX線撮影、血液検査などを行う。聴診器で聞く呼吸音に特徴があるという。「診断にはこの病気を疑った問診が重要です。どのような環境で症状が表れたり改善したりするかを尋ねます」と西村センター長。
過敏性肺炎と診断されると、急性型では抗原を避けるために入院治療となることが多い。思い当たる抗原を避けた状態で症状が治まるようであれば、診断がより確かなものになる。間質性肺炎に進行した慢性型では、呼吸機能の低下が予想され、その抑制のために副腎皮質ステロイド薬が投与されることもある。
▽高温多湿の場所に注意
過敏性肺炎の約7割は夏型だ。抗原であるトリコスポロン・アサヒは6~10月に生育し、高温多湿の場所を好んで繁殖するため、発症は木造の古い家屋に住んでいる人に多い。
「入院治療中に改善が見られたら、試験的に帰宅してもらいます。帰宅後に症状が表れるようであれば、風通しを良くして除湿を心掛け、エアコンの掃除をするなどトリコスポロン・アサヒが繁殖しにくい住環境を指導します」。時には住居の改装あるいはリフォームや転居が望ましいケースもあるという。
過敏性肺炎は健康な人にも起こる。エアコンや加湿器、浴室などカビが発生しやすい場所を掃除する他、抗原となるものを避けることが発症の予防になる。「特定の環境下で繰り返し症状が出るようであれば、呼吸器内科を受診してください」と西村センター長は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2020/11/23 05:00)
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