2021/06/23 05:00
人生の最後まで自分の足で歩くために
(寺師浩人 日本フットケア・足病医学会理事長)
コロナの自粛生活明けに足の痛みを訴えて受診する人が増えています。突然、移動を制限され、ステイホームで過ごすことになり、足にも影響が出てきているようです。
足が痛くなるパターンは、大きくわけると3つあります。
◇通勤しただけで痛みが…
最も多いのは、仕事がテレワークになり、家の中でほとんど座ったままの生活をしていたところ、緊急事態宣言が解除されて、久しぶりに通勤を始めただけで、今まで経験したことのない痛みが足の裏や甲、指の付け根の関節などに出たというケースです。
足の関節や筋肉は、絶え間なく動いていないと衰えてしまいます。それを1カ月以上もほとんど動かさずにいた場合、まるで入院生活を送っているようなものですから、機能が低下することは避けられません。
足に痛みが出る原因と足の機能低下や老化を「閾値」との関係から見たグラフ(「足のクリニック表参道」提供)
◇活動の限界を知らせる『閾値』
足の活動の限界を知らせるボーダーラインを『閾値』(いきち)と呼んでいますが、長い間、足を使わずにいると、この閾値が下がってしまい、少し活動しただけで限界を超えて、足の痛みにつながってしまいます。
閾値は常に同じではなく、生活習慣の変化などに伴い、上がったり下がったりを繰り返します。年を取っただけでも下がりますし、運動不足でも下がります。コロナで下がった閾値も、再び足を動かすことで上がっていきます。
◇かくれたトラブルが表面に
通勤生活に慣れていくことで自然と痛みが消えていく場合も多いのですが、閾値が下がったことで、潜在的な足のトラブルに気付きやすくなったという人もいます。痛みは体を守るための危険信号ですから、痛みを感じているのに、そのままその状態を続けると何らかの障害が出てしまいます。
外反母趾、強剛母趾、足底筋膜炎など、足の痛みの原因になる病気が見つかった場合は、これを機会に治療して、根本的な痛みの原因を排除しておくといいでしょう。
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◇トレーニングでカバー
緊急事態宣言解除後もリモートワークを続ける企業も多く、新型コロナの新しい日常は、まだしばらく続きます。そんな中で足の機能低下を防ぐためには、通勤で使っていた活動を補うための筋トレやストレッチが不可欠です。
筋トレといっても、それほどハードなメニューをこなさなくても、仕事をしながらの「ながら筋トレ」で十分です。スクワットの要領で、椅子に座る、立つ、を繰り返せば、太ももの筋肉や背中の筋肉が鍛えられます。トイレに立ったついでに、壁に手をついてかかとを上げ下げする、つま先立ちをすると、ふくらはぎの筋肉が鍛えられます。
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