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家事や水仕事をする機会が多い人がなりやすい「手湿疹」。複数の要因が重なって発症することが多く、予防には日頃からのケアが大切だ。原因や対処法、予防のポイントについて、野村皮膚科医院(横浜市)の野村有子院長に聞いた。
手湿疹の症状
▽化学的・物理的な刺激が原因に
手湿疹には、洗剤やせっけん、化学物質、薬品、食品などが皮膚に接触することにより生じるアレルギー性接触皮膚炎と、化学的な刺激や衣類、紙などの摩擦による物理的な刺激で生じる刺激性皮膚炎がある。
正常な皮膚の潤いは、皮膚表面にある皮脂膜(保護膜)や角質層の角質細胞間脂質(セラミドなど)、保湿成分などによって保たれているが、原因となる物質による刺激や手洗いなどにより、皮膚のバリアー機能が壊されると乾燥が進む。すると、手のひらや指がかさかさして皮がむけ、ひび割れしたり赤くなったりすることがある。症状がさらに進むと、かゆみが表れ、かきむしって皮膚表面が傷つき、細菌やウイルスが入り込みやすくなる。
「家事や仕事に支障を来すだけでなく、見た目が気になってストレスを感じる人も少なくありません」と野村院長。手で水や布、紙、洗剤などに触れたりする機会が多い職業、皮膚が乾燥しやすい、敏感肌の人などは手湿疹になりやすいという。
▽保湿ケアと刺激回避で予防
空気が乾燥する季節は、皮膚の水分量が減少するため特に注意が必要だ。新型コロナウイルスの感染予防対策としてアルコール消毒液の使用や手洗いの頻度が増えることもリスクになる。「指先が乾燥している段階で保湿クリームを使うことが重要です」と野村院長は指摘する。
指の関節の皮膚がひび割れたり、血がにじむほど進行した場合は、保湿に加え、手袋を使って手を保護したり、刺激の少ないせっけんを使って手を洗うなどの対応が必要となる。「早期に対応しなければ、手が赤く腫れて、かゆみや痛みが強くなります。重症化すると細菌感染を起こしやすい状態になるため、皮膚科を受診しましょう」
治療には、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬を用いるが、細菌感染を起こしている場合には抗菌薬を使用する。「パソコンやスマートフォンの操作も皮膚の乾燥の原因になります。特に水仕事をする機会が多い人は小まめにハンドクリームを塗るなど保湿を心掛け、炎症を起こしている場合は、皮膚の状態が元に戻るまで塗り薬をしっかり塗り続けましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/06/30 05:00)
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